親知らず治療 抜かずに切って 後遺症知らず
愛知学院大グループ 歯根残し 神経無傷
根があごの神経と接触している親知らずを治療する際、抜歯せずに歯の上の部分を切り取り、下の部分と根を残すと、唇のしびれや違和感といった後遺症が出ないことが、愛知学院大歯学部の栗田賢一教授らのグループの調査で分かった。
栗田教授によると、現代人は歯の大きさに比べてあごが小さく、親知らずが斜めや横向きに生える人が少なくない。こうした親知らずは、骨の中の「下歯槽神経」とくっついている例が多い。抜歯して治療するのが一般的な治療法だが、神経が傷つくことがあり、0・4〜5・5%の患者に後遺症が残る。
栗田教授や公立陶生病院(愛知県瀬戸市)の波多野裕子歯科医師らは国内で初めて、根を残す治療法を数年前から実施。神経と接触した歯根部分を温存し、歯の上部を切断した後、下の部分と根を骨内に残したまま、歯肉を縫い合わせる方法で治療を積み重ね、今回、患者194人を追跡調査したところ、後遺症が出た患者はいなかった。
傷口がふさがらない患者は5%いたが、残された歯の根は骨の中を動き、既に神経と離れていた。このため治療後に比較的容易に歯の根を取れたという。
栗田教授は「神経とくっついているのは、親知らずの抜歯患者10人に1人くらい。中には、抜歯の後遺症からうつ状態になってしまう患者もいる。今回の調査で根を残す治療には後遺症がないことが分かり、広く浸透するきっかけになるだろう」と話している。
- 同じジャンルの最新ニュース
- 外国の子に歯科検診 鈴鹿のブラジル人学校 (2011年10月27日)
- 朝日大と木沢記念病院共催 健康テーマに講座 (2011年10月9日)
- 乳歯の虫歯予防を 福井・美浜で育児講座 (2011年10月8日)
- 〈歯科医療の現場から〉 ビスフォスフォネート関連顎骨(がっこつ)壊死 (2011年10月6日)
- 東京地検 歯科医師を起訴 (2011年10月6日)