第二話 セイクリッド・ハート&雷刃と星光
ヴィヴィオサイド
わたし高町ヴィヴィオはミッドチルダ在住の魔法学院初等科4年生。
【公務員】のママと二人暮らしでけっこう仲良し親子です。
たまにケンカもするけどね。
家を出た所でなのはママが聞いてきます。
「ヴィヴィオ、今日は始業式だけでしょ」
「そだよー、帰りにちょっと寄り道してくけど」
「今日はママもちょっと早めに帰って来られるから晩ご飯は4年生進級のお祝いモードにしよっか?」
「いいねー♪」
「さてそれじゃ」
「うん」
「「いってきまーす !」」
わたしは、なのはママとハイタッチをしてから別れます。
St.ヒルデ魔法学院・初等科・中等科棟
そう言えば昨日の人、この学院の人なのかな?
St.ヒルデの悪魔って呼ばれてたし………。
私がそんな事を考えていると
「ヴィヴィオ!」
名前を呼ばれました。
「ごきげんよう、ヴィヴィオ」
「コロナ!リオ!」
「おはよー」
「クラス分けもう見た?」
「見た見た!!」
「3人一緒のクラス!!」
ぽんっ
「「「いえーーーーーーーい♪」」」
仲良しの友達と…………、
「選択授業で応用魔導学を選択した皆さんはこれから授業も難しくなってくると思いますが…………しっかり学んでおけば将来きっと役立ちますからね」
結構ハイレベルだけど楽しい授業。
「は~、終わった終わった!」
「寄り道してく?」
「もちろーん」
「また図書館寄ってこーよ! 借りたい本あるし」
「あっ、でもその前に教室で記念写真を撮りたいな、お世話になってる皆さんに送りたいんだ、皆さんのおかげで、ヴィヴィオは今日も元気ですよ…………って」
図書館
「「えええええええ!?」」
「え、あの、何か?」
「St.ヒルデの悪魔にあった!?」
「ヴィヴィオ、無事!? お嫁にいけない体とかにされなかった!?」
「えっと、そんなに悪い人じゃないよ………多分」
「そんな事ないよ! あの人は災害って呼ばれる程……危険で」
「へぇ、俺が災害ねぇ」
「「ひっ!!」」
宗サイド
なんだ?
話しかけたら、急に喋らなくなったぞ?
「おおおおおお、お願いします、許して下さい!」
「何でもしますから!」
「何をそんなに怯えてるんだ? 別に取って食ったりはしないぞ」
「あ、あの」
「おう、チビ助! 昨日ぶり!」
「はい!昨日ぶりです、えっと名前を聞いても良いですか?」
「は? ああ、俺は御門 宗だ……えっと」
「ヴィヴィオです、高町ヴィヴィオ!」
「宜しくな、ヴィヴィオ」
「はい、宗さん」
「「……………………………」」
「なあ、ヴィヴィオ、この二人はどうしたんだ?」
「何か宗さんが怖いみたいで………」
「お~い、ツインテ、ボーイッシュ、戻ってこい…殺すぞ♪」
「「はい!」」
「何でもするって言ったよね?」
「「は、はい」」
「じゃあ、名前を教えて?」
「リオ・ウェズリーです」
「コロナ・ティミルです」
「そっか、宜しくな、コロナ、リオ」
「「…………………」」
「如何した?」
「いや、聞いた話と違うな~って……」
「もっと怖い人だと思ってました」
「怖い?」
俺は怖がられるような事したかな?
「はい、女子供に容赦ないとか」
「無差別に殴りかかるとか聞いてましたから」
いやいやいや、確かに女子供を殴るが無差別じゃないぞ!
「いや、無差別に殴らないし、敵なら女子供容赦しないってだけだけど?」
などと俺が話していると
「お待たせ~、宗………………ナンパ中?」
白髪の女みたいな奴が話しかけてくる。
「この光景を如何見たらそうなる?」
「いや、普通に見たらそう思うけど? 宗………………ロリコンだったんだね……僕知らなかったよ」
ガシッ
俺は頭を鷲掴みにしアイアンクローをかける。
「ギブギブギブ! 痛いよ!中身が出ちゃうよ! ジョークだから許して下さい!」
「次にやったら本気で潰すぞ♪ シャル♪」
此奴はシャルロット・ロウラン……俺がこの学院で唯一つるむ奴で見た感じは美少女だが男だ…確か親戚の叔母さんが管理局で提督をしている………そして管理局の白い悪魔を崇拝してる危ない奴でもある。
「あの~?」
「ああ、ごめんね、僕はシャルロット・ロウラン……一応、男ね」
「「「えええええええええ!?」」」
「そんなに驚くなよ…ぷっ」
「そう言う宗は何を笑ってるのかな?」
「いや、相変わらず男に思われてないからさ」
「うっさい、ほっといて」
「そう拗ねるなよ、帰りにシュークリーム奢ってやるから」
「本当に!? 約束だよ、破っちゃやだよ!」
「分かったから落ち着け」
「ん? あれ?宗………………その腕のは何?」
「ああ、俺のデバイスだ…昨日、ラルゴの爺ちゃんに貰った」
「嘘!? 宗ってラルゴさんの知り合いなの!?」
「まあ、色々とな」
「じゃあ、高町なのはさんも!」
「誰だよ?」
「知らないの!? 管理局のエースオブエースを!」
「ああ、白い悪魔のフルネームって高町なのはって言うのか」
ん?
待てよ?
ヴィヴィオの苗字が確か……高町だったな……で昨日のサイドポニーのお姉さんを…………なのはママって呼んでた様な気が…」
「ヴィヴィオ………お前のお母さんは管理局の白い悪魔か?」
「はい! なのはママは、わたしのママですよ」
アウトだー……コレを知ったシャルが黙ってる筈がない!
「ほ、本当にヴィヴィオちゃんは………なのは様の娘……」
「「「なのは様!?」」」
あ~あ、ヴィヴィオの事をありがたや、ありがたや、とか言って拝み始めたよ。
「ヴィヴィオ、勘弁してやってくれ…其奴は白い悪魔の信者でな……この間なんか耐久24時間…永遠となのはさんの魅力について語られた」
「「「あー」」」
ヴィヴィオ、コロナ、リオ、そんなに哀れむなよ。
「でも宗はわかってくれないよね」
「俺はどちらかと言えば、烈火の騎士とか鉄槌の騎士の方が好きだな、同じアームド使いだし」
「ええ!?、宗のデバイスはアームド型なの?」
「まあな」
その後、シャルを落ち着かせてリオ、コロナ、ヴィヴィオと自己紹介させた。
そして
ピローン♪
「あ、メール返ってきたー」
「そう言えはヴィヴィオって自分専用のデバイス持って無いんだよね?」
「それフツーの端末でしょ?」
「そーなんだよー、うちのママとその愛機がけっこー厳しくて」
〈基礎を勉強し終えるまでは自分専用のデバイスとかいりません〉
〈それまでは私が代役を〉
「だって」
「「そーかー」」
「でも良いな~、なのは様のレイジング・ハートを使えるなんて」
「そうか?」
「そうかって、なのは様のレイジング・ハートだよ!?」
「俺は自分専用のデバイスの方が好きだな、他人の色に染まった奴なんか使いたく無いな」
「「「あはははは」」」
ヴィヴィオ、コロナ、リオ、何だよ……その乾いた笑いは?
「リオはいーなー、自分用のインテリ型で」
「あははー」
『すみません』
「そう言えばシャルロットさんのデバイスは何型なんですか?」
「僕? 僕のは何型になるんだっけシュテル?」
「私はクロスミラージュを参考に作られたのでクロスミラージュと同じインテリジェントデバイスに入るかと」
「ええ!? なのはママの声!」
『始めまして、私はルシフェリオン・シュトラクター、シュテルとお呼び下さい……私のAIは高町なのはを元に作られていますので声が同じなのかと』
「そうですか………そう言えば宗さんのは喋らないんですか?」
「ん?ああ、レヴィ……喋って良いぞ」
『本当にご主人様! 僕はバルニフィカス・レヴィ……強くて凄くて恰好良いご主人様のデバイスだよ、レヴィって呼んでね』
『貴女……何故ここに!? 破棄された筈では!?』
『ラルゴって人が持ち出してご主人様に渡してくれたんだ』
「フェイトママだ…」
「フェイト? 金の閃光の?」
『そだよ、僕のAIのモデルだよ』
「あっそ」
「あれ? 宗は興味が無いの?」
「此奴のモデルが誰であれ此奴はフェイトじゃなく、レヴィだからな」
「成る程ね」
ピピッ♪
「ママからのメールだ」
「何かご用事とか?」
「あー、へいきへいき、早めに帰ってくるとちょっと嬉しいコトがあるかもよ……だって」
「そっか」
「じゃあ、借りる本決めちゃお!」
「うん!」
「んじゃ、俺も帰るわ、メアド教えとくから何かあったらメールくれ、助けてやるから」
「あ、僕も渡しとくね」
「「「ありがとうございます、宗さん、シャルロットさん」」」
「じゃあな」
「待ったね~」
ヴィヴィオサイド
実は私はその昔、生まれ方関係でちょっといろいろあったりした。
なのはママと血の繋がった親子ではないし、今の仲良しのみんなともほんの数年前までは本当に……………本当に色々な事があった。
助けてくれた色んな人達、わたしが…わたしのまま、高町ヴィヴィオとして生きる事を許してくれた人達のおかげで、わたしは今なんだか凄く幸せだったりします。
「たっだいまーっ」
「おかえりー、ヴィヴィオ」
「あれ? フェイトママ!?」
「うん」
「バルディッシュも」
『お久しぶりです』
「フェイトママ、船の整備で明日の午後までお休みなんだ、だからヴィヴィオのお祝いしようかなって」
「そっか……ありがと、フェイトママ」
「お茶いれるから着替えてくるといいよ」
フェイトママは、なのはママの大親友。
9歳の頃からだって。
わたしがなのはママと親子になる時、後見人になってくれて…その時なんだかわたしはフェイトママの事もママって思っちゃったらしくて………覚えてないよ! ちっちゃい頃の事だもん。
以来ずっと、
わたしには二人のママがいる状態。
まあ、ちょっと変わってるけど二人ともわたしの大切なママです。
「ごちそうさまー!」
「さて!今夜も魔法の練習しとこーっと」
「あー、ヴィヴィオちょっと待ってー」
「?」
魔法の練習をしに行こうとした、わたしをなのはママが止めました。
「ヴィヴィオも、もう4年生だよね」
「そーですが?」
「魔法の基礎も大分できて来た、だから そろそろ自分の愛機を持っても良いんじゃないかなって」
「ほ…ほんとっっ!?」
「実は今日、私がマリーさんから受け取ってきました」
フェイトママはわたしに箱をくれました。
「開けてみてー」
なのはママが言うとおり開けてみると………
「うさぎ…?」
のぬいぐるみが入ってました。
「あ、そのうさぎは外装というかアクセサリーね」
「中の本体は普通のクリスタルタイプだよ」
私がなのはママとフェイトママの説明を聞いてると
よじよじ
フヨフヨ
わたしの目の前に浮いて
ども、
手をあげて挨拶しました。
「とっ………ととと飛んだよっ!? 動いたよっっ!?」
「それは、おまけ機能だってマリーさんが」
わたしはビックリして、なのはママとフェイトママの後ろに隠れました。
でも
フワ…
「あっ」
「色々とリサーチもしてヴィヴィオのデータにあわせた最新式ではあるんだけど………中身はまだ殆どまっさらの状態なんだ」
「名前もまだないからつけてあげてって」
「えへへ……実は名前も愛称も、もう決まってたりして、そうだママ! リサーチしてくれたって事はアレできる!? アレ!!」
「もちろんできるよー、セットアップしてみてー」
「……………?」
私はマスター認証をしました。
「マスター認証、高町ヴィヴィオ、術式はベルカ主体のミッド混合のハイブリッド、わたしの愛機に個体名称を登録……愛称はクリス、正式名称はセイクリッド・ハート、いくよクリス」
ビシッ
クリスはわたしの呼びかけに右手をあげて返事をしてくれます。
「セイクリッド・ハート! セーーーート・アーーーーーーーーップ!」
掛け声と共に私はセットアップして大人モードになりました。
「ん……! やったあーーーー! ママありがとうー!」
「あー、上手くいったねー」
『お見事です』
褒めてくれる、なのはママとレイジング・ハートでも
へたーーーーーーーー
「フェイトママ?」
フェイトママだけはその場にへたりこんでしまいました。
「………………あ」
「?」
「なのは………ヴィヴィオがヴィヴィオがぁぁー!! なんで聖王モードに!?」
「いや あの、落ち着いてフェイトちゃん、これはね…」
「ちょ…………!なのはママ! なんでフェイトママに説明してないのー!」
「いや、その……ついうっかり」
「うっかりってー!」
こうして、わたしの始めてのセットアップは大騒ぎで終わりました。
同時刻 時空管理局・本局第一会議室
宗視点
「で………シャルがいきなりバインドをかけたかと思ったらこういうことか?」
「ゴメン、叔母さんの頼みでさ」
そう、此処には早々たる顔触れが揃っていた。
メンバーはミゼット・クローベル統幕議長、レオーネ・フィルス法務顧問相談役、ラルゴ・キール武装隊栄誉元帥、後の三人はうろ覚えだがシャルの遠縁のレティ・ロウラン提督、リンディ・ハラオウン総務統括官とその息子のクロノ・ハラオウン提督、後は、俺の母親と父親。
「何ですか? この過剰なお偉いさん方は………ラルゴさん?」
「聞いて欲しい事があってな」
「聞いて欲しい事?」
「とある……傷害事件について」
「傷害事件?」
「そうだ、被害届が出てないから、まだ事件扱いではないが…」
ラルゴさんの話では、最近格闘系の実力者が何人も街頭試合を挑まれ、完膚なきまでに叩きのめされているらしい。
そして何故かシャルが食いついてるし………
「で…………誰なんですか…それは?」
「これを……」
レティ提督がバイザーを着用した女性をパネルに映す………俺には見憶えがあった…正確には此奴の格好だが…………
「覇王…イングヴァルト…!?」
俺の発言にシュテルとラルゴさん以外が驚く。
「そうだ、此奴はそう名乗っているらしい」
「成る程……それで俺と…シャルに…」
俺がラルゴさんの真意に気付くとシャルが質問してきた。
「覇王イングヴァルトと言えば古代ベルカの聖王戦争時代にシュトゥラって国を治めていた英傑だよね…何でそんな人の名前を…だだの喧嘩好き?」
「その線もあるが………アレはクラウスの子孫だろうな…それも記憶を受け継いだ奴だろう…まぁ、実際に会ってないから判断できないけどな」
「それと僕達と如何いう関係が?」
「そこでヴィヴィオが出てくるのさ」
「ヴィヴィオちゃんが?」
「ラルゴさん……答えづらければ別に構わないが………高町ヴィヴィオは高町なのはの実の娘じゃないし、人造魔導師でオリヴィエのコピーだろ?」
全員の顔色が変わった。
「そうだ」
「成る程……この子が本当に覇王なら聖王を狙って来るから、同じ学園で尚且つ仲の良い僕達に護衛をしろって事か………」
「だろうな」
「シャルロットはわかるとして君は一体?」
「クロノさん……俺の話を信じたのはラルゴさんだけでしたよ…さてシャル帰るぞ」
「うん、帰り際にヴィヴィオの様子を見に行ってみようか?」
「そうだな」
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