岐阜県御嵩町で1996年、当時の町長だった柳川喜郎さん(78)が暴漢に襲われた殺人未遂事件が30日、公訴時効(刑事訴訟法改正前の15年)を迎えた。県警は、柳川さんが反対していた産業廃棄物処理施設の建設問題が背景にあるとみて捜査を進めたが、容疑者の特定に至らなかった。
時効成立後、名古屋市内で記者会見した柳川さんは冒頭、「戦い終わって日が暮れた」と言って、涙を見せた。捜査については「15年間に十分かつ必要な捜査が行われたかということに大きな疑問が残る。緊急配備しなかったのはおかしい」などと訴えた。
事件は96年10月30日夕に発生。柳川さんは自宅マンションで2人組の男に襲われ、頭の骨を折り一時重体となった。
県警は捜査員延べ約15万5000人を投入。柳川さんの自宅の盗聴、脅迫などの容疑で暴力団関係者らを逮捕したが、襲撃事件は目撃者がいない上に物証も乏しく、捜査に進展はなかった。
[時事通信社]