御嵩町長襲撃30日午前0時に時効 県警、柳川さんに謝罪
2011年10月29日13:14

◆会見「初動捜査、落ち度ない」

写真:御嵩町長襲撃30日午前0時に時効 県警、柳川さんに謝罪
御嵩町長襲撃事件に関するこれまでの捜査について説明する上口弥一刑事部参事官=28日午後3時、県警本部

 可児郡御嵩町で1996(平成8)年10月、当時町長の柳川喜郎さん(78)が暴漢に襲われ、一時意識不明の重傷を負った殺人未遂事件が30日午前0時に公訴時効を迎えるのを前に、県警は28日記者会見を行い、刑事部の上口弥一参事官は「事件が解決できず、非常に申し訳ない気持ちがある」などと謝罪した。

 県警記者クラブが記者会見を申し入れていたもので、時効に関する会見に警察が応じるのは全国的にまれ。

 上口参事官は事件が未解決であることを「極めて残念」とした上で、今月17日に被疑者不詳のまま岐阜地検に書類送検、刑事部幹部が26日、柳川さんに対して「申し訳ない」と伝えたことを明らかにした。

 県警はこれまで、延べ15万5000人の捜査員を投入。最大180人態勢で捜査し、町長方の盗聴事件などで延べ34人を摘発したが、いずれも襲撃事件との関連をつかむことはできていない。

 「あらゆる捜査をしたが、犯人を特定する証拠の入手に至らなかった」「検挙しようと必死になったが、捜査が及ばなかった」と述べた。

 また、事件発生直後に現場付近で緊急配備の態勢を敷かなかったことを問題視する指摘については「初動捜査に落ち度があったとは思わない」と述べ、「目撃者がおらず、柳川さんも緊急治療を受けており、犯人像をつかむのに時間がかかった。現場での遺留品検索や鑑識などに捜査力を集中した」と説明した。

 上口参事官は個人的な意見として「これだけの悪事をして、のうのうとしている者と同じ空気を吸っているのが許せない。捕まえたかった」と心情を吐露した。