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Updated Mar.30,2004
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第6回 デジタル時代の技術フロンティア - その3
テラビット領域への跳躍
-TDK HDD用磁気ヘッド-

■ 半世紀で5000万倍以上驚異的な高記録密度化
■ 過酷なマラソンにも似た磁気ヘッドの開発競争
■ SV-GMRヘッドによりHDDの小型化も推進
■ テラビット時代に向けた次世代の磁気ヘッド

 過酷なマラソンにも似た磁気ヘッドの開発競争 ページ 1へページ 3へページ 4へ
 高速回転する磁気ディスク面をスイングアームが機械的に走査し、スライダと一体化された先端部の磁気ヘッドが情報を記録・再生する。これがHDDの仕組みである。スイングアームは複数の部品によって組み立てられる。スライダをサスペンションに取り付けたものをHGA(ヘッドジンバルアセンブリ)といい、これに駆動コイルなどを取り付けたものをHSA(ヘッドスタックアセンブリ)という。磁気ヘッドの生産において世界のトップシェアを誇るTDKは、HGAからHSAまで手がける数少ないメーカである。

 磁気ヘッドの開発はマラソンに似ている。いったん先頭グループから取り残されると、遅れを取り戻すことは至難である。理論が後追いになるほどの最先端の要素技術を、継続的に投入しないことには、決して製品化できないからだ。

 HDDの高記録密度化の道は、1979年にIBM社が開発した薄膜磁気ヘッドによって切り開かれた。磁気ヘッド(書き込みヘッド)のギャップから出る磁束により、ディスクの磁性層に微小な磁石を形成し、その磁化の向きによって0か1かのデジタル情報を保存する。これがHDDの記録原理である。再生はディスク面の微小磁石の磁界を磁気ヘッド(読み取りヘッド)が検知することで行われる。ディスクの面記録密度はこの微小磁石のサイズによって決定する。フェライトなどのバルク材料を用いた従来タイプの磁気ヘッドで大容量化を図るには、ディスク径を大きくするか、ディスク枚数を増やすしかなかった。この問題をブレイクスルーしたのが薄膜磁気ヘッドである。

 薄膜磁気ヘッドの製造には半導体集積回路と同様のプロセス技術が使われる。ウェハ上にヘッド素子となる薄膜のコアやコイルを多数形成し、これを切断してヘッド一体型のスライダを量産している。薄膜磁気ヘッドの将来性を見抜いたTDKは、すぐさま研究を開始して技術確立に努め、数年のうちに開発に成功。1986年には日経優秀製品賞を受賞した。蓄積したフェライトヘッドの製造技術と、先進のプロセス技術の結集により、薄膜磁気ヘッドという未踏領域の開拓をいちはやく成し遂げたのである。

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