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国際
「TPPは米経済戦略の要」 日本参加で交渉遅れを懸念
【ワシントン=柿内公輔】環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐり、野田佳彦首相は、11月に米ハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を前に、交渉参加を表明する方針だ。TPPを「経済政策の要」ととらえる米国は日本の参加を表向き歓迎するが、対立を残したままの表明に危惧を抱いている。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、輸出拡大で景気浮揚を目指すオバマ政権の経済戦略の要だ。交渉の旗振り役を務めることでTPPの主導権を握る思惑もある。それだけに交渉の入り口で迷走する日本への見方は冷ややかだ。
「通商案件が活気づいている。TPP交渉をやり遂げることを約束する」
米通商代表部(USTR)のマランティス次席代表は、難航した韓国やコロンビアとの自由貿易協定(FTA)批准を終えた今が、TPP推進の好機とみる。勢いを駆って、11月のAPEC首脳会議での大枠合意にこぎつけたい考えだ。
米経済の厳しい状況も政権をTPP推進に駆り立てる。オバマ大統領は昨年1月の一般教書演説で、「今後5年間で輸出を倍増させる」構想を打ち出した。その柱がFTAやTPPなど各国との経済連携で、カナダなどとの北米自由貿易協定(NAFTA)も含め、クマール米商務次官補は「輸出拡大の余地は非常に大きい」と強調する。
通商政策の重みは足元で一層増している。ねじれ議会で雇用創出法案は審議入りもままならず、国内での景気対策は行き詰まっているためだ。来年に大統領選が迫る中、尻に火がついたオバマ政権にとって、各国との経済連携の推進は貴重な経済政策の得点源だ。
雇用対策や財政改革でオバマ政権とことごとく衝突する野党共和党とも、「通商政策では折り合いが付きやすい」(議会筋)。
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