内閣府は25日、環太平洋経済連携協定(TPP)に日本が参加した場合には、実質国内総生産(GDP)が0.54%(金額ベースで2.7兆円)押し上げられるとの試算を公表した。TPP参加をめぐる経済効果は、経済産業省や農林水産省などが提示しているが、数値の開きが大きく、信頼性が疑問視されていた。政府は統一見解として内閣府試算を提示し、TPP交渉参加に向けて調整を進めたい考えだ。
内閣府はTPP交渉参加が9カ国に固まったのを受け、これまでの幅のあった試算値を絞り込んだ。世界貿易機関(WTO)や米国などのモデルを利用し、工業品の輸出拡大や農産物輸入といった影響を織り込んだ。GDP押し上げ効果のほぼ半分は米国向け輸出拡大が寄与するとみられる。
これまで農水省はTPPに参加すれば農産物の生産減少などでGDPが7.9兆円減るとの推計値を提示。これに対して経産省は日本がTPPに参加せず、韓国が中国と経済連携協定を結んだ場合は、自動車生産などを中心にGDPが10.5兆円減ると主張していた。各省庁の試算が乱立していたため、TPP交渉参加を判断する前に一本化を図ったとみられる。
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