統計のマジック!? 非正規雇用者、本当の数とは

失業率に続き、またも統計混乱

 ある大企業の工場で部品を組み立てる仕事をしているイ・ソンミョンさんは社内下請け社員だ。所属は大企業に納品する部品業者となっているが、その業者には一度も行ったことがない。入社後、ずっと大企業に出勤し仕事をしている。業務内容も、隣に座っている大企業所属の社員と同じだ。それなのに所属が部品業者という理由で、給与や福利厚生など、あらゆる面で待遇がよくない。イさんの妻は3年間、自宅近くの日本料理店で従業員として働いている。月給は150万ウォン(約10万円)を少し超えるくらいだ。イさんは「うちは『非正規職カップル』だ」と話した。

 社会通念上、彼らは非正規職だが、統計ではどちらも正規職に分類される。イさんは大企業で差別的な賃金を受けて働いているが、身分上は部品業者に勤務する社員として見なされるためだ。イさんの妻は食堂側と、2年間というような期限が決められた勤労契約を結んでいないため、正規職に分類される。

 統計庁は28日「非正規職は今年8月の時点で599万5000人と、1年前に比べ30万9000人(5.4%)増加し、史上最大規模となった」と発表した。統計上、韓国社会は「非正規職600万人時代」を迎えている。

 しかし、雇用市場で体感する非正規職の数は、これに比べかなり多い。非正規職の規模を集中的に追跡している韓国労働社会研究所は、今年3月の時点で韓国の非正規職の数は831万人と、賃金労働者全体(1706万人)の48.7%に達すると推計している。

 統計上の非正規職数と実際の非正規職にこれだけ差が出ている理由は、非正規職の集計方法が違うためだ。統計庁は10年前の2002年、労使間と政府の合意により作られた基準で非正規職の規模を算出している。しかしその後、社内下請け職が大幅に増加するなど、雇用市場の版図が完全に変化した。これを受け、新たな非正規職基準を決めるべきという指摘が出ている。

パク・ユヨン記者
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