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緊急要望活動 ご協力のお願い
活 動 報 告

・2010年5月20日 民主党副幹事長・今野東さんと面談

・2010年5月24日 厚生労働大臣政務官 山井和則さんと面談
・2010年5月25日 文部科学大臣政務官 高井美穂さんと面談

・2010年6月18日 内閣府大臣政務官 泉 健太さんと面談
・2010年6月18日 内閣府障害者制度改革推進室 東 俊裕室長と面談
・2010年8月 2日 内閣府障害者制度改革推進室訪問・面談
・2010年8月 2日 厚労省たんの吸引等検討会 橋本操委員訪問・面談

・2010年8月 9日 厚労省たんの吸引等検討会傍聴
(8月9日付で、橋本委員の資料として、バクバクの会から意見書を提出)

・2010年9月 1日 厚労省医事課と障害者10団体で意見交換

(別ウインドウで開きます。)

・2010年5月20日 民主党副幹事長・今野東さんと面談
岸本美智子
 5月20日、民主党副幹事長 今野 東(こんのあずま)さんと面談し、在宅で行っている「医療類似行為」(医療的ケア)を「生活支援行為」として、すべての介護者や教職員が実施できる体制整備を求める緊急要望書を手渡し、厚生労働大臣長妻昭氏に要望書を提出できるように要請してきました。参加者は、大塚会長と、服部真由さん、服部恵美子さん、星名文子さん、大阪から岸本美智子です。

 バクバクっ子の真由さんの生活の様子などを話し、実際に吸引するところも見ていただきました。そして、長妻厚生労働大臣が、5月15日に明らかにした、たんの吸引などをヘルパーや介護職にも認める方向に関して、有識者らの検討会に、ぜひ当事者をいれてほしい・実態調査が必要・自宅だけでなく生活の場で、たとえば学校の教職員などにも認めるべき・吸引以外のケアに関しても、拡大必要ではないか伝えました。また、特別支援学校で認められていることが、地域の学校では同等以上の状況にあっても認められていない実態があることや、箕面市の特区申請(教職員による医療的ケアの実施)が、不採用だったことなども伝えました。面談予定時間は15分だったのですが、30分余り話が出来ました。

・2010年5月24日 厚生労働大臣政務官 山井和則さんと面談
・2010年5月25日 文部科学大臣政務官 高井美穂さんと面談
平本 歩、平本美代子
山井和則厚生労働大臣政務官(中央)と
 5月24日(月)、山井和則厚生労働大臣政務官に要望書を渡すために、厚生労働省に行きました。

 参加者は、バクバクの会 平本歩(ヘルパー2名)、平本美代子、医療的ケア連絡協議会代表 折田凉(ヘルパー2名)、北村佳那子(ヘルパー1名)、北村惠子、NPO法人ライフサポートネットワークいけだ理事長 上田舞(ヘルパー1名)、バクバクの会会長 大塚孝司、バクバクの会事務局長折田みどり、医療的ケア連絡協議会事務局長 岸本美智子、計15名でした。

 面談時間よりかなり早く着いたので、廊下で待機していると、石毛さん(衆議院議員)が来られました。私が保育園に行っている頃から知っているので、その保育園に講師として行っていることを話したら、びっくりされていました。でも、仕事になるとヘルパーさんは使えないので講師という形で行っている、自立支援法と言いながら学校や仕事の送迎はもちろん、学校にいる間も仕事中もヘルパーさんが使えない、という実情を改めて訴えておきました。

 ヘルパーさんの研修について、「さくら会の川口さんがやっているように、事業所がヘルパーさんを当事者の家で研修していくような形がよいのではないか。それに助成金を出していったらどうか。」と言っておられました。

 山井政務官との面談では、要望書・バクバクの会の地域で暮らすための医療的ケア研修事業「まいど!医療的ケア」の報告書・医療的ケア連絡協議会の「医療的ケアの必要な人の生活支援モデル事業」報告書などを渡して説明しました。出席者の紹介、医療的ケア研修事業の取り組み、涼さんや彩さんの自立生活等を報告し、医療的ケアを生活支援行為として考えるべきだと、話をしました。私は、「生活支援行為として研修すれば、誰でもケアできるようにしてほしい。」と要望文を読みあげました。
石毛さんから「ヘルパーさんの研修はどのようにしているか。」という質問が出されました。北村佳那子さんのヘルパーさん、私のヘルパーさんがそれぞれ答えました。石毛さんは、「事業所がヘルパー研修をして、その事業所に助成金を出したらどうか。」との提案をされました。ヘルパー派遣事業所の立場から、上田さんが、医療的ケアと介護が制限されているための様々な問題点について、事業所としても困っているとの話がありました。入院中にヘルパーさんが使えないことについても指摘しました。

 山井さんから、事故が起こった場合の責任のことについての質問がありました。「学校で呼吸器が外れた時、医療的ケアに手を出さない教師の時は、何もできないし、しようともせず、本人が苦しんでいても親を呼びに走るだけだった。医療的ケアをしてくれる教師の時は、何かあってもすぐに対応してくれて大事には至らなかった。何もしないことの責任の方がずっと重い。」ということなどを伝えました。

 山井さんは最後に「この問題は来年早々には方向性を出したい。」と前向きな姿勢が示されました。また研修についても「一般的なものだけでなく、個別性が高いものなので、当事者個人のケアについての研修をやるべきだ。」と言われました。

 今回石毛さんに同席していただいたので、ポイントをとらえて話を進めていただいたのもよかったと思います。またヘルパーさん側から発言することができたのも、現状や課題を理解してもらうのにとても有効だったと思います。

介護舎てにてを ヘルパー 米山 真希(賛助会員)
 特に印象に残ったのは、在宅での医療的ケアが「生活支援行為」として認められていない為に、必要な日々のケアが「暗黙の了解」になってしまっている不自然な状況についてなど、ヘルパーの意見にも熱心に耳を傾けてくださったことです。当事者さんの当たり前の生活を明らかに制限していることが伝わったのではないかと思います。また、在宅で、即戦力を育てる研修制度について考えていただけそうな手応えを感じました。

介護舎てにてを ヘルパー 立花 真里
 私は平本歩さんのヘルプに入るようになって、丸5年になります。最初歩さんのケアにあたって、制度のことなど詳しく知らず、歩さんのお父さんから、「呼吸器は、目が悪い人がメガネをかけるのと同じ。」と聞きました。「なるほど、そうだよね。」と思いました。しっかり研修して、歩さんの生活に寄り添っていけば、医療的ケアだから(出来ない)・・・なんてことにはならないはずです。まだ制度でダメと言われる部分が多いと思います。が、人の為の制度であって、制度によって人の生活が制限されるのはおかしいと思います。医療的ケアが必要な人も、地域で当たり前に暮らせるようになってほしいです。

 山井議員が耳を傾け、現状を知って、「今出来ていることができなくなる制度じゃなく、今以上みんなが暮らしやすい制度にしないといけない。」と言ってくれたことにホッとしました。
NPO法人 Q.B 北村 惠子
 5月24日山井和則厚生労働大臣政務官、5月25日高井美穂文部科学大臣政務官に、要望書を届けてきました。地域で医療的ケアを必要としながら生活している当事者の平本歩さん・折田涼さん・北村佳那子さん・支援者・親・介助者たちが、要望項目を中心に、研修の充実・検討会への参画など、本人たちの生活、涼さんと岸本彩さんの自立生活を伝えながら、それぞれが生きてきた中で感じていることを伝え、安心して地域で暮らすことができる体制整備を強くお願いしてきました。

 山井政務官は、夏までに閣議決定し、時間がかかるかもしれないが法改正をしたいと、信念を持って進めておられると思いました。

高井美穂文部科学大臣政務官(後列左から3人目)
 高井文部科学大臣政務官とは、政務官の公務のため面会時間が急に2時間あまり早くなり、大急ぎで駆けつけました。参加を予定していたMちゃん(東京都立川市で4月から市立保育園に仮入園した人工呼吸器をつけている3才の女の子)が間に合わなくて、とても残念でした。折田みどりさんは、「特別支援教育はインクルーシブ教育ではない」と訴えるロビー活動をするために、この日、国連のあるジュネーブに旅立ち、平本歩さんも関西に日帰りしたので、10名で臨みました。

 現教育制度では、障害を理由に分けられています。重度重複障害や医療的ケアを必要とすればなおさらのことです。どんなことがあろうとも命を分けてはならない、分けることで差別が生まれると私たちは考えています。地域の普通学校ですごしている子どもたちの学校での様子を写真で見てもらいながら、“共に学び、共に育つ”ことの大切さを訴えました。大阪での取り組み、涼さんや佳那子さんの学校生活を通してのことなど、要望項目はもちろんのこと、就学で振り分けられてしまうのではなく学籍一元化を願っていることや、医療的ケアのために親の付き添いが必要だったり、校外活動を制約されてしまう実態、箕面市が行った特区申請が不採用に終わったことや、大阪府寝屋川市の市立小学校で医療的ケアを必要とする児童が増えても介助を行う看護師を増員しないために新たに親の付き添いが生じている問題等を伝えました。

 医療的ケアを行う看護師資格のある特別支援員やボランティアの配置を、最終的に判断するのは市町村教育委員会だそうです。医療的ケアについて、高井政務官は「厚労省とのこともあるので…。」と、とても慎重に話されました。政務官は私たちの話を1時間近くじっくり聞いてくださいました。

 地域で当たり前に暮らしてきた当事者たちの姿を、2人の政務官が目の当たりにして話が出来たことに大きな意味を感じました。当事者の生きる姿が、なにより説得力があると思います。自尊感情の育つ人権教育、一人ひとりのいのちを大切に生きることのできる社会をめざしてこれからも風をおこします。

北村 佳那子(大阪市)
 厚生労働省と文部科学省に要望書を持って行ってきました。緊張しましたが、私たち当事者が直接話をしに行くことは大切です。しかし本当は話をしに行かなくても、当たり前に医療的ケアやインクルーシブ教育が行われていればいいのに、と思っています。

 私は、小・中・高校と普通学校で過ごしました。その経験は何ものにも変えがたいです。当たり前のことを当たり前になるまで、講演活動の場などでも、人に伝えていこうと思っています。



・2010年6月18日 内閣府大臣政務官 泉 健太さんと面談
・2010年6月18日 内閣府障害者制度改革推進室 東 俊裕室長と面談
・2010年8月 2日 内閣府障害者制度改革推進室訪問・面談
・2010年8月 2日 厚労省たんの吸引等検討会 橋本操委員訪問・面談
岸本美智子
内閣府泉政務官(中央)と石毛^子衆議院議員(左隣)
 6月18日(金)内閣府特命大臣政務官、泉 健太(いずみけんた)さんに当事者2名を含む8名で面会しました。要望書を手渡しし、『医療関係者と家族に限定するのではなく、誰もが医療的ケアが出来るほうが、当事者にとって遥かに安全で安心である。』と、強く訴えました。そうすることによって生活の質が格段に向上すること、分業すればするほど普通の暮らしから遠くなり、なおかつ社会的なコストがかかるばかりであることを伝えました。そしてそのためには、実績を上げて安全であるとわかってもらうことと、必要な研修をした上でヘルパーの業務として認められることが必要ではないかという話になりました。そして、まだ正式には立ち上がっていない検討会(7月5日に第1回目が行われた「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」)が傍聴可能なので、ヒアリングなどで意見を聞いてもらう機会を作る必要があることなども確認しました。

折田涼さんのアンビューバッグを押す泉政務官
 政務官は医療的ケアを必要とする人の生活を知りたい、また、研修を受けたくともその場もないと仰っていました。当日朝、新大阪から新幹線に乗ってきた話をし、飛行機に乗るにはストレッチャー料金が高いことなども伝えました。ストレッチャーに乗っている当事者の目線で常に話しをしてくださって、ヘルパーが気管内吸引をする合間に、「責任重大だ!」と言いながらアンビューバッグを押すという初めての体験もされました。その様子を見ていて、当事者と会うことによって初めて理解できることがあるので、当事者による活動が必要だと改めて思いました。

折田涼さんと東室長
 その後、障害者制度改革推進会議室の、東 俊裕室長とお会いしました。これまで医療に委ねられてきた部分を、地域で担っていく必要があるのではないかということと、人工呼吸器をつけて地域で生きることは無理だと思われているので、地域で生きてきた当事者たちの実績をぜひ活用してほしいと言われました。また、地域の小学校に入学するにはかなりの努力が要り、なおかつ付き添いの強要も多いので、実践例の紹介が必要ではないか、大阪府市町村医療的ケア体制整備推進事業補助金制度によって看護師資格のある介助員が配置されている大阪に注目されている様子でした。そして、介助者個人の力量だけに頼らないコミュニケーション支援の保障が、教育における『カギ』ではないかとも仰っていました。

 医療的ケアに関する研修の仕方が、総合福祉部会では重要な論点になるとのことです。基礎知識+個別研修という形で、それぞれの生活実態に合った研修が必要であり、研修企画案を立案、モデル事業として実践する必要性を感じました。
内閣府障害者制度改革推進室のみなさんと

障がい者制度改革推進会議室へ2回目の訪問とALS協会橋本操さん宅表敬訪問
 
パーソナル・コーディネーター 河野 尚介
 8月2日(月)、バクバク20 周年記念集会終了後の翌日、今年度内に結論を出すという「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」についてのお話を聞くための訪問でした。地域の学校で学ぶ、そんな当たり前の生活イメージを持たずに進められていく検討会に対してどのように自分たちの考えや想いを伝えていけば良いかの意見を聞きにいきました。

 実際に想いを伝える為、声を届ける為に大阪から東京へと出てきているのに「他の方々もいるのに、あなた方のお話だけを聞くわけにはいかない」と要望書を受け取ってももらえない現状(直接には要望書は受け取ってもらえなかったので委員の一人である橋本操さんに提出資料として検討会には出してもらえましたが…)を打破する為にも意見を聞きたかったわけです。

 結論から言ってしまうと、とにかく思いつく手や、やれる手は全てやるという結論になりました。やっても変わらないかもしれないけど、やらないと絶対に変わらないから…。

 それから大阪での障がい者運動の現状等をお話しました。ホームグラウンドは箕面市や池田市、豊中市といった北摂地域ですが、それだけではなく大阪市の話をしました。積極的に現状把握に努めておられる印象がとても強かったです。
人工呼吸器をつけて犬と2人暮らしをされている橋本操さん
 その後、「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」の唯一の当事者である橋本操さん宅を訪問しました。

 橋本さん宅では、どうしたら検討会に私達の意見が伝わるかという話や、私達の現状をお話したり、橋本さんの暮らしを伺ったりしました。特に、検討会に私達の意見が伝わるかという話では、具体的に個々の委員さんの、考え方の方向性が聞けて、誰が私達に近い考えをしているかが分かりました。

 それにしても、委員の数(18名の構成員)に比して当事者がただ一人というのは、どう考えてもおかしいと改めて思いました。当事者の代表が一人では、「私達の事を、私達抜きで決めないで」という一番大切な意識が検討会には薄いのではないか?とも思いました。


 橋本操さんには是非頑張って頂きたいです。

・2010年8月 9日 厚労省たんの吸引等検討会傍聴
(8月9日付で、橋本委員の資料として、バクバクの会から意見書を提出)
岸本美智子
 8月9日(月)、第4回「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」の傍聴に行きました。申し込んでもなかなか当たらなかった傍聴ですが、この回は広い会場で行なったので申込者全員が傍聴できたようです。人工呼吸器をつけた当事者がたくさん参加していました。

 冒頭に山井和則厚生労働大臣政務官から挨拶があり、高齢者と障害者や難病の人とではかなり違う部分があると痛感しており、区別して取り扱うことに合理性があるのではないか、研修は2本立てでいくという主旨でした。

 この検討会では医行為概念の再整理に関しては検討しない、対象とする範囲はたんの吸引と経管栄養、現行の違法性阻却論による運用の下で行われている地域での生活の低下をおこさないという確認、不特定多数を対象とするのと特定の者を対象とする研修とは区別して取り扱う、2本立てで試行事業を行ってその結果を総括して検討する場を設定する、研修システムのアドバイザーとして当事者である橋本操さんが加わる、指導者講習・基本講習・実地研修を経てケアの試行を行う、2011年1月の通常国会に法案を提出するために速やかに結論を出す、というような話しがされました。地域の小中学校での医療的ケアのことを考えてほしいという意見も出ました。

 2時間の会議でこれだけのことを話すので、議論が十分尽くされない印象を強く受けました。「○○までに○○を決める」という結論が先にありきの状況の中で、地域での当事者の生活を知らないままにことが決められていく怖さを感じました。出来ることをとにかくやっていくしかないという焦りを強くした傍聴でした。