東日本大震災
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【社会】福島廃炉に30年超 落ちた燃料回収が難関2011年10月29日 07時12分 福島第一原発の廃炉に向けた工程表を検討している国の原子力委員会の専門部会は二十八日、廃炉が完了するまで「三十年以上の期間を要する」との見通しを盛り込んだ報告書の原案をまとめた。圧力容器も格納容器も損傷し、溶融した燃料の取り出しが非常に困難な状況であることなどを理由とした。十二月中に報告書をまとめ、同委に提出する。 国と東電はまず、1〜3号機の「冷温停止状態」達成を年内に前倒しで実現させたいとしている。報告書案では、この後、原子炉建屋内の除染やがれき撤去などを進めるとともに、三年ほど後に使用済み燃料を建屋内のプールから取り出しに着手するとしている。 最大の課題は溶融した核燃料の取り出し。作業をするためには、圧力容器を水で満たし放射線を遮蔽(しゃへい)することが大前提になる。報告書は、格納容器ごと水で満たす「水棺」状態にし、炉内にテレビカメラを挿入するなどして様子を把握し、十年以内に取り出しを開始することを目標とした。 ただ、核燃料は圧力容器の底部を溶かし、格納容器にまで落ちている。圧力容器の底をくり抜き、格納容器上部に設置した作業台から三十数メートルの伸縮式のアームを水中に伸ばして燃料を回収する作業が必要になる。これは世界でも前例がなく、技術開発から始めることになる。 建屋などの解体はその後になるため、廃炉が完了するまでには三十年以上かかると推定した。 目標の実現には「オールジャパン体制」の構築が必須と指摘。経済産業省や文部科学省、東電、原子炉メーカーなどで「研究開発推進本部」をつくり、そのトップは国側が選ぶとした。国が主体的にかかわり、研究開発全体を取りまとめていく方針だ。 廃炉完了の見通しを示したのは初めて。専門部会長の山名元(はじむ)京都大教授は「事故を起こしていない原発を廃炉するのにも十五年かかる。福島原発では燃料の取り出し準備に十年、回収に五年かかれば合わせて三十年になる」と説明した。 (東京新聞) PR情報
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