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政治
【主張】所信表明演説 首相の「覚悟」感じられぬ
東日本大震災に加え、産業空洞化や東シナ海での中国の活動活発化など内外の危機を抱えた時期だからこそ、最高指導者の国のかじ取りが注視される。
2度目となる野田佳彦首相の所信表明演説は、それを明らかにする好機だったはずだ。だが、「安全運転」ばかりが目立ったのは極めて残念である。
首相が明確な針路を示さなければ、国政の停滞は打開できない。冒頭で掲げた「政治家の覚悟と器量」を問われているのは首相自身であることを自覚すべきだ。
本格復興のための約12兆円にのぼる第3次補正予算案は、震災から7カ月半でようやく提出された。だが、復興財源を増税で確保する姿勢は変わらない。「国家の信用が問われる」などと説明したが、なぜ国民に負担を求めなければならないのかの理由は、十分明かされないままだ。
焦点の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉参加は、「しっかり議論し、できるだけ早く結論を出す」と、前回の演説から一歩も進んでいない。
歳出削減と税外収入確保に「断固たる決意で臨む」のは至極当然である。遅きに失したが首相らの給与をカットし国会の定数削減を求めるなど、政治家自らが身を削る姿勢は見え始めた。政権公約である国家公務員総人件費の2割削減にも早急に着手すべきだ。
米軍普天間飛行場移設問題では「日米合意を踏まえつつ、沖縄の負担軽減を図る」という従来の見解を繰り返すだけだった。27日に沖縄県の仲井真弘多知事と初めて会談した際、知事から沖縄訪問を要請されても答えなかった。
民主党政権が目指した県外移設論とその頓挫こそが、沖縄の辺野古移設反対論を拡大した。中国海軍の活動活発化により、沖縄海兵隊などの抑止力の意義は高まっている。民主党の失政を謝罪し、日米合意への理解を求める努力の先頭に首相が立たねばならない。
前回の演説で「経済社会の血液」と指摘した電力の安定供給についての言及がなかったのも問題だ。停止中の原発を再稼働させるとの方針は、党内外の反発を恐れて後退してしまったのか。
TPP問題をはじめ、首相が政治生命を懸けて決断しなければならない課題は山積している。今後の国会論戦を通じて、「覚悟」を示してもらいたい。
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