2011年8月30日 14時11分 更新:8月31日 4時19分
民主党の新代表に選出された野田佳彦財務相(54)は30日午後の衆参両院本会議での首相指名選挙で、第95代、62人目の首相に指名された。菅内閣総辞職を決めた同日午前の閣議後、野田氏は記者会見で、党役員人事について「今日の午後あたりからいろいろと着手したい。幹事長などの骨格を決めていきたい」と表明。この後、小沢一郎元代表に近い輿石東参院議員会長と国会内で会談し、幹事長就任を打診したが、輿石氏は固辞したとみられる。組閣は9月2日以降になる見通しで、それまでは菅内閣が「職務執行内閣」として存続する。
衆院本会議は午後1時から首相指名選挙が行われ、野田氏308票▽自民党の谷垣禎一総裁118票▽公明党の山口那津男代表21票▽共産党の志位和夫委員長9票--などを獲得。野田氏が投票総数476(無効1)票の過半数を得て、新首相に指名された。続いて同1時半から参院本会議でも首相指名選挙が行われたが、野党が多数を占めるため、1回目の投票で野田氏は指名に必要な過半数を獲得できなかった。上位2人の決選投票となり、野田氏110票▽谷垣氏107票▽白票24票--で、野田氏が首相に指名された。
野田氏は、首相指名に先立ち、閣議後の記者会見で、新内閣の組閣について「しっかり『ため』をつくり、拙速にならないようにしたい」と語った。野田氏は「挙党態勢」を掲げており、菅政権で小沢元代表の処分を進めた岡田克也幹事長の後任人事が焦点。中間派から鹿野道彦農相か川端達夫前文部科学相を起用する案も浮上している。鹿野氏は閣議後会見で「何としても心を一つにする全党態勢を成し遂げていかなければならない」と強調したが、幹事長就任の打診は「全然ない」と述べた。
また、菅政権では玄葉光一郎政調会長が国家戦略担当相を兼務していたが、野田氏は「兼務しない方がいい。閣僚としての仕事があり、両方抱える困難さを理解している」との認識を示した。
29日の民主党代表選で野田氏に敗れた海江田万里経済産業相は閣議後会見で「戦ってよかった。野田新首相の『もうノーサイドだ』という言葉を信じたい。私はそういう人事をやってくれるものと期待している」と述べた。
野田氏は30日午前、国民新党の亀井静香代表と与党党首会談を行い、連立政権を継続する合意書を交わした。郵政改革法案については「最優先課題として取り組み、各党修正協議での合意を図り、次期臨時国会において成立を期す」とした。野党の共産、社民、みんな、たちあがれ日本、新党改革の各党にもあいさつ回りをした。【須藤孝】