2011年8月29日 9時45分 更新:8月29日 10時14分
太陽系がある天の川銀河の中心部では、星が大量に誕生する「ベビーブーム時代」があることを、松永典之・東京大特任研究員と永山貴宏・名古屋大特任助教らの国際チームが突き止めた。星の出生率が時期によって差があるのが確認されたのは初めてで、天の川銀河の形成解明に役立つ成果という。英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
01年から8年間、南アフリカに設置した赤外線望遠鏡で天の川銀河中心部の一角を観測した。その結果、検出した8万個以上の恒星から、明るくなったり暗くなったりを繰り返す「セファイド変光星」を、地球から2万5000光年離れた天の川銀河の中心部で3個発見した。
この変光星は太陽系周辺で約500個見つかっていたが、天の川銀河の中心部では大量に存在するちりが邪魔をして未発見だった。明るさが変わる周期はいずれも20日で、その周期から変光星は約2500万年前に誕生したことが分かった。一方、この望遠鏡で観測できた3000万~7000万年前では、誕生した変光星はなかった。
変光星は数万個に1個の割合でしか生まれないため、約2500万年前に恒星が活発に形成されていたと考えられる。分析によると、3000万~7000万年前に生まれた恒星は2500万年前の4分の1以下という。
今回の発見は恒星の源となるちりの量が時期によって違うことを意味し、松永さんは「ちりの量が何に起因するのか、第2、第3のベビーブーム時代があるのかを探りたい」と話す。【田中泰義】