アメリカと韓国のFTA=自由貿易協定の正式な発効まで韓国国会の批准を残すだけとなるなか、ソウルでは、FTAに反対する農家の人たちなどが大規模なデモを行い、警官隊と激しく衝突しました。
アメリカと韓国のFTAは、アメリカ側では、オバマ大統領が今月21日に関連法案に署名して発効に向けた手続きが完了し、韓国国会が批准すれば、正式に発効することになっています。これについて、28日にソウルではFTAに反対する農家の人たちや労働団体のメンバーなどおよそ3000人が集まり、国会議事堂の周辺で集会を行いました。参加者は「FTAが発効すれば、大企業ばかりがもうけ、農家や中小企業は衰退するしかない」などと主張して、FTAを破棄し、アメリカと再交渉を行うよう求めました。そのあと、参加者は国会議事堂に向かってデモ行進を始めたため、4000人余りの警官隊が出動し、激しく衝突しました。また一部が国会議事堂の敷地内に乱入しようしたため、警察が放水して制止する場面もありました。韓国の与党は、今月中に国会の批准を済ませることを目指していますが、野党側はFTAで被害を受ける農業への補償などが十分でなく、さらに議論が必要だと主張して対立が続いており、今月中の批准は不透明な情勢です。