国立社会保障・人口問題研究所は28日、09年度の社会保障給付費が前年度比で6.1%増え、過去最高の99兆8507億円に達したと発表した。10年度は100兆円を超えているとみられる。年金が50兆円を突破するなど高齢者経費が伸びたのに加え、失業関連が倍増するなど現役世代向けの給付も増加したために全体が押し上げられ、95年度(7.0%)以来14年ぶりの高い伸び率となった。
社会保障給付費は税金や保険料から年金や医療、介護などに支払われた総額。高齢者向け給付費は前年度比5.0%増の68兆6422億円だった。
一方、厳しい雇用状況を反映し、失業手当や雇用調整助成金などの失業関連給付は前年度の1兆2482億円から2兆5243億円へと倍増した。現役向けの給付増により、全体に占める高齢者給付の割合は0.8ポイント減の68.7%となった。
また、生活保護は3446億円(14.5%)増え、2兆7198億円だった。失業関連とともに比較可能な95年度以降、過去最高の伸び率となっている。
国民所得は前年度比3.6%減の339兆2234億円と2年連続で減少しており、国民所得に対する給付費の割合は2.7ポイント増の29.4%。国民1人当たりの給付費も6.3%増の78万3100円といずれも過去最高だった。
分野別では年金が51兆7246億円(前年度比4・4%増)▽医療は30兆8447億円(同4・2%増)▽介護など福祉17兆2814億円(同15・8%増)だった。【鈴木直】
毎日新聞 2011年10月28日 21時12分