東日本大震災の被災地に思いを寄せ、兵庫区熊野町5の夢野中学校創造芸術部26人がピカソの代表作「ゲルニカ」(縦約3・5メートル、横約7・8メートル)の原寸大模写に挑み、20日、同校で仕上げ作業を行った。反戦へ祈りを込めて描かれた「ゲルニカ」に、自然災害で多くの人の命が奪われる怒りにも似た感情を重ねたという。22日の同校文化祭で披露される。
「ゲルニカ」は1937年、スペイン・ゲルニカがナチスによって空爆されたことを受け、ピカソが制作。モノクロームで描かれ、命を不条理に奪う暴力への抗議を込めた名作として知られる。
模写は5月、部長の3年山口紗希さん(14)が発案。「震災で何の罪もない人の命が奪われていく。ゲルニカと被災地の破壊された町の映像とが重なった」と振り返る。
部員に提案したものの、当初はアニメキャラクターを押す意見もあり、反応は低調。ところが7月下旬、部員らが原寸大複製がある徳島・大塚国際美術館を訪れ、「伝えたい作品」と意見が一致したという。
8月に制作を開始。ポスターを拡大して下絵を作った。ベニヤ板18枚に分割、部員たちが手分けし、ポスターカラーで着色。この日、プールのフェンスに立てかけて接合し、細部に手を入れた。
「ここまでできるとは思わなかった」と部員たち。「阪神・淡路大震災を直接経験していない自分たちにもできることがある。多くの人に見ていただき、被災地のことを考えるきっかけにしてほしい」と話している。
(仲井雅史)
(2011/10/21 09:15)
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