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<日銀追加緩和>円高歯止め掛からず 市場「想定内」が大勢

毎日新聞 10月27日(木)21時26分配信

 日銀は27日の金融政策決定会合で追加の金融緩和に踏み切った。歴史的な円高が東日本大震災からの復興途上にある日本経済の腰折れを招きかねないと判断、これ以上の円高を阻止することを狙ったが、緩和決定後に円相場は3日連続で戦後最高値を更新。緩和効果は発揮されず、円高に歯止めはかからなかった。【谷川貴史、小倉祥徳】

 「現時点での円高は、企業の心理や収益、輸出などに与えるマイナスの影響が大きい」。決定会合後に会見した日銀の白川方明総裁は、急激な円高に強い懸念を表明した。

 今夏以降の円高は、欧米経済の減速懸念を背景に投資家のリスク回避姿勢が強まり、「相対的な安全資産」とされる円に投資マネーが集まったためだ。輸出増と復興需要をてこにした日銀の景気回復シナリオを狂わせかねず、日銀は8月4日、国債などの資産買い入れと超低利の資金供給を行う「基金」を10兆円増額した。それでも円高傾向はやまず、今回の会合で基金をさらに5兆円増額し、総額55兆円とする追加緩和を余儀なくされた。

 基金の増額は、日銀が長期国債の購入を増やすことで、市場に出回る資金の量も増やし、長めの期間の金利を引き下げる効果が期待できる。市場では「米連邦準備制度理事会(FRB)が11月1、2日の連邦公開市場委員会で追加の金融緩和に踏み切る」との観測が浮上。今は日本の金利は米国より低いが、「米国の追加緩和で日米金利差が縮小し、円高が進む」との思惑が広がり、一段の円高を避けるため、日銀は追加緩和に動いた。

 しかし、市場では「基金5兆円の増額は想定の範囲内で、円高を食い止めるには力不足」との受け止め方が大勢。8月4日の緩和では、政府・日銀が同時に円売りの市場介入に踏み切り、円相場は直後に約3円急落したが、今回は介入がなく、緩和だけでは限界もあった。安住淳財務相は「断固たる行動を取る」と繰り返してきたが、口先介入は効果が薄れている。歯止めのかからない円高に対し、政府・日銀は再度の円売り介入も含め、さらなる対応を迫られる場面も予想される。

 ◇年明けに「70円」の観測

 今後の円相場についても、市場では「円買い圧力は根強く、一段の円高が進む」との見方が出ている。

 これまで円が上昇してきたのは、日本経済の実力が評価されているのではなく、米欧経済への不安からドルやユーロが売られ、消去法的に円が買われてきたためだ。27日のユーロ圏首脳会議は欧州債務危機への包括的な対策で合意し、同日の東京外国為替市場で円は対ユーロで反落し、午後5時現在で前日比57銭円安・ユーロ高の1ユーロ=106円34〜38銭となったが、欧州経済への懸念はなお根強い。米国経済も27日発表された7〜9月期の実質国内総生産(GDP)の成長率は年率換算2.5%と持ち直したが、高失業率など先行き不安はぬぐえておらず、円が買われやすい状況は変わっていない。

 市場では「円売り介入への警戒感もあり、一方的な円高にはならない」との見方もあるが、「今回の追加緩和は市場の予想の範囲内」と指摘する大和証券の亀岡裕次投資情報部担当部長は「円相場は年末まで1ドル=75〜78円で推移する」と予測。JPモルガン・チェース銀行の佐々木融債券為替調査部長は「ドルが売られ続け、年明け以降は70円程度まで円高が進む」と指摘する。【浜中慎哉、岩崎誠】

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最終更新:10月28日(金)1時12分

毎日新聞

 

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