オンラインゲームMMORPG中毒者を救ったのはカイジにでてくる下衆野郎の一言だった
先日、今年一番と言って良い程驚いた事があった。
2年前からオンラインゲームにはまり、かなりの廃人と化していた知人からコンサルティングの仕事の相談があったのだ。そりゃもう驚いた。
彼はアルバイトをしてもあまり長続きしない。バイトのシフトがあっても、オンラインゲーム内でのイベントが最優先されるため、たびたび休むからだった。奥さんとは5年の生活を送っていたが、彼がゲームにのめり込んでから1年で離婚。バイト代もゲームにほぼつぎ込む始末。
そんな彼から、現在Webに関わる就職につき、そのなかでWebコンサルの相談があるといわれたのだから、驚かずにはいられない。さらにだ、ものすごいスピードで出世している上に、人生計画も素晴らしいと思える程になっていた。まさに逆転の逆転だ。そしてそんな彼を救ったのがなんとあの漫画、カイジだったとは・・・。
中毒症状と葛藤
彼は現在29歳で、Web業界の仕事についていた。
彼が22歳の時に仕事の関係で知り合ったときも、同じくWeb関係の仕事でした。そのときは定職についていて、結婚。子供は居なかったそうだ。
しかし2年前に、ルーセントハートというゲームにはまって以来人生が驚くほど逆転する。
私もβテストの時やっていたけど、このゲームには星ともという女性キャラクターといちゃいちゃするシステムが充実していて、ゲーム内とは言え恋愛に発展する人も少なくない。結婚後も奥さんと星ともとの二重生活は続き、仕事もサボりがちになり、バイトに転職。
冒頭でも書いたとおり、ゲーム内のイベントを最優先する為の結果だった。
そして1年前に離婚。
彼の葛藤はここから始まった。
離婚してようやくゲームをやめたいという感情が生まれたのです。しかしそこから半年、やめたいと思いつつもやめる事が出来ず、結局アルバイト生活が続きます。
一日のゲーム時間を決めても、結局それを守る事が出来ず、長い間葛藤していたそうです。
カイジにはまる
そんなある日、賭博黙示録カイジという単行本の1巻だけ買って帰宅。
彼はそのカイジに猛烈にはまり、その日うちに5巻まで購入。しかしこれ以上買うとゲーム内でのアイテムが変えなくなるため、翌月まで我慢した。
実は私もカイジファンで軽く説明すると、『賭博黙示録カイジ』が全13巻。その後、第2章として『賭博破戒録カイジ』全13巻。第3章『賭博堕天録カイジ』全13巻と、カイジという名前で相当発売されている人気賭博漫画です。
絵がすさまじくて、アゴも凄いのが特徴。
翌月、第一章『賭博黙示録カイジ』13巻まで制覇。カイジのアゴについて↓
輪郭奇怪録カイジ〜カイジの顔は立体化できるのか〜
そして彼の生活や運命までも変えてしまう第2章『賭博破戒録カイジ』を3巻まで購入。
その第一巻を見たとき、なんとそこには自堕落すぎる自分の姿があったのだ。
彼を変えた一言とは
少しこの一巻について軽くおさらいしたい。
カイジは第一章に950万という借金を背負うことになる。そのせいで、カイジは地下の労働施設に送り込まれ、強制労働させられていた。この地下社会で、カイジは15年働き続けなければならない。
しかし、この労働施設では、1ヶ月に9万1千ペリカという通貨が支払われます。これは地下社会でのみ使える通貨で、円の価値の10分の1。労働者の唯一無二の楽しみであるビールや、ほかほかのコンビニ弁当を買うことができるツールです。そしてカイジが目をつけたのは、1日外出権利。これは50万ペリカを支払うことで得られる労働者の特権です。
カイジは当初、ここに連れてこられた時、この50万ペリカを溜めるべく、ビールやおつまみといった娯楽を我慢する事を誓う。たった6ヶ月我慢すれば54万ペリカ。また、そうした娯楽におぼれている人間を最初は馬鹿にしていました。
貯める。そして1日外出してギャンブルで借金を返す。そう心に誓ったのです。まぁ、この時点でギャンブルを考える時点でどうしょうもないといえばどうしょうもない人間なんですけどね。
ところが、いざ始めて91000ペリカを手にした時、精神と肉体の葛藤が始まります。
350mlのビール缶が5,000ペリカ。焼き鳥4本で7,000ペリカ。
無駄遣いすればあっという間にお金は無くなる。
そんな状況の時、この第2章の敵でもある班長が、善人のふりして近づき、ビールを1缶だけカイジに渡す。
「無理はいけねぇ、無理は続かない、自分を適度に許すことが長続きのコツさ」
そういってカイジはもらったビールを飲み干してしまう。
そこで考える。6ヶ月で54万ペリカ。4万あまる。これを特別の日に使えば問題ないと。
そして考えた末、給料をもらった今日こそが特別の日だと決め、ビール1本だけを注文する。せっかくだからつまみも。だが、7,000ペリカの焼き鳥は高すぎるので、500ペリカのカキピー小袋を頼もうとする。
ここでまた班長が現れる。
「下手だなカイジ君、欲望の開放のさせ方が・・・へた。カイジ君が本当に欲しいのは・・・これ(焼き鳥)。だけどそれはあまりに値がはるから、こっちのしょぼいカキピーでごまかそうというんだ」
「ダメなんだよそれじゃぁ。せっかくビールでスカッとしようとしている時に、そんなんじゃかえってストレスがたまる。贅沢ってやつは、小出しじゃダメなんだ。やるときゃきっちりやったほうが良い。それでこそ、次の節制の励みになるってもんさ」
言われて見れば・・・カイジはここで焼き鳥を購入。そしてポテチまで。さらにビールまで何本も買って豪遊してしまう。合計41,000ペリカの豪遊。カイジはこの翌日もまた豪遊してしまい、結局ペリカの借金まで負うことに。
これをみた班長の手下がカイジをみて「馬鹿丸出しですね」と言う。
そう、ここ。
ここで班長が手下に言った言葉こそが、オンラインゲーム中毒者を現実に引き戻した言葉だったのです。
「仕方ないよ。馬鹿だからね。食べ終わったら、奴はとりあえず満足してこう考えるだろう。明日から頑張ろう、明日から節約だと。が、その考え方がダメ。」
「明日から頑張るんじゃない。今日。今日だけ頑張る。今日頑張った者。今日頑張り始めたものにのみ、明日がくるんだ」
「今日だけ頑張る」
彼を突き動かしたのはこの言葉だった。
ちなみにこの名場面を収録した1話だけはGyaoで無料公開されている。
逆境無頼カイジ 破戒録篇 Bet.1「地の獄」
「今だけ我慢しよう」を続けた
ここから、彼はゲームを完全に断ち切る事を決めた。
これまで、やったゲームの禁止方法。
- 一日4時間だけにしよう
- 2日のうち1日だけにしよう
- 少しずつ減らしていこう
- お金を課金するのをやめよう
1日4時間だけにしても、MMORPGの特性上、ダンジョンで他の人とパーティを組んでいる時、どんなに時間を決めてもそれ通り終わる事はなく、結局一度でも破ってしまうと終わる。
2日に1回にしよう。それも結局はイベントの関係上無理だった。
こうしてみると、今まで、離婚したとしても「完全にやめよう」とは考えなかった。まずは減らそう、急にやめるとゲーム内の友達に悪い。時間を減らそう、日にちを減らそう。そうやってずるずると廃人から抜け出せずにいたのだ。
これはまるで私が経験した「タバコの禁煙」と一緒だと感じた。
実はここが今回お話をしていて興味深かった部分でもあるのですが、彼は
「ゲームをやめようとは一度も決意した事がない」
というのです。
いや、現にゲームは完全にやめている状態です。
やめているにも関わらず
やめようとは決意していないのです。
では何故やめれたのでしょうか?
その答えこそが「今日だけ頑張る、今だけ頑張る」だったのです。
まずゲームのアンインストール。これまでやった事がない偉業。今だけやめると決めたのだから、後で再インストールするかもしれないが今だけは消そう。そう考えながらソフトをアンインストールしたそうだ。これでゲームがPCから完全に消えた。
そして今日だけは頑張ろう。今日だけで良い。そう思って一日をクリア。
翌日。
早朝からどうしてもソフトを再イントールしたくなる欲望が湧き出る。この時も彼は思ったそうだ。今だけ再インストールするのをやめよう。あとでまたしたくなるだろうけど、今だけは我慢しよう。
落ち着いて着たらまた考える。今日だけ頑張ろう。明日は無理だろうけど今日だけは。
そうなんです。彼はやめようという決意ではなく、今だけ我慢しようという方法を、ずっと続けてやめたのです。
人生が変わった瞬間でもあった。
時間が膨大に余る事に戦慄を覚えた
1ヶ月間はずっと我慢の毎日だったと語る。
何もしない時間が増え、その何もしない時間に我慢し続ける毎日だったと。しかし、1ヶ月過ぎると、とんでもなく時間が余っていると言う事に気がついた。なんせ今まで時間さえあればずっとゲームをしていたのだから当然だ。その時間に何をしていいのか分からず、ただただゲームの事を考えては我慢という事を繰り返していたのです。
そしてここで初めて、就職活動を開始。時間が膨大にある為、いくらでも探せるという感覚があっと言います。これまでMMORPGをやっていた時は、なぜこんなにアップデートやバグを潰すのが遅いのかとイライラしていた。ところが、ゲームを離れると、遅いではなく、早いと感じるようになる。多数の情報を見渡したり、人のブログやニュースを読んだり。
よくわからないイライラがなくなったと同時に、膨大な時間が手に入った。
彼がゲームをやめて初めて感じた、オンラインゲーム中毒の恐ろしさでもあった。それだけの時間を全てゲームに注ぎ込んできていたのかと実感する。毎日時間があまってしょうがない。何かもっと色々な勉強をしたり、何かを作りたい。
そして就職。
今に至る。
私の禁煙の時も全く同じ事を感じた。
膨大にお金が余るという錯覚に陥る。いや、吸わなければ最初から余ると言うことはないのですが、実際には手元にお金が余っていくのです。
1日50本くらいタバコを吸っていた人がタバコをやめると色んな変化が襲ってくる
まぁその話はまた置いといて、普通なら「中毒者だった人が改善した」というお話なのですが、彼の話はまだ続きがあります。
凄いスピードで出世し、まるで完全な別人になってしまったからです。
彼は、私達ではあまり感じることが出来ないであろう「時間が膨大に余る」という感覚を経験しています。また、時間が早い、時間が遅いという時間的な錯覚も極端に感じていました。
この時間が余るという感覚から、彼の人生が逆転するであろう発想が誕生したのです。
「人生って、目標がないと暇で暇でしょうがない」
この台詞。一見普通の人がみたら???となるかもしれません。もしくは、目標を立てるのが当たり前だと思う人もいるでしょう。多くの人は目標を立てることが大事と、「目標ありき」な部分があると思います。
しかし彼の場合は、時間が膨大にありすぎるという感覚から、暇すぎて苦しいという発想が根底にあります。
つまり、暇という苦しみからなんとか解放されたくて、目標を立てざるを得なくなったと言うことなんです。
彼はここで、欲しい物を5つ決めました。これを目標にどうしたらいいかを考えよう。最初は難しい事は考えずにその欲しいものの為に頑張ろう。そう決めたのです。
価格にすると5万円のiPadから、135万の腕時計まで。何かが欲しいとなると、次に何ヶ月で買うのかと言うのを決めました。そうすると自動的に月にどれほど稼がなければいけないのかが算出されます。彼は月にどれくらい稼がなければいけないのかと言う観点から、今度は仕事を探すようになります。
しかし、2年フリーターで転々としていた職歴の彼を快く受け入れてくれるところはなかなか見つからず、就職活動はかなり困難だったと言う。
ようやく就職出来たが、彼が最初に掲げた月収には及ばなかった。
そこで彼は考えた。給料が上がる方法を。なんせ家に帰ってからも暇な上、会社でも最初暇すぎる。だからまず、給料が上がる仕組みを勉強し、給料が上がる為に必要な仕事を覚え、そのために求められるスキルを身につける ようにした。
ここでは「努力した」とは言わないでおく。
なぜなら彼に「すごい頑張ったんだね」と言うと、「頑張ってませんよ、暇が潰れていく感じが凄く楽しかったです」と答えたからだ。彼にとっては、暇こそが辛いのだ。
この発想は少し見習うところがあるかなと感じた。何かをしなきゃならないという脅迫概念を持っている人も沢山いるだろう。しかし、彼のように一途に何かが欲しい、だから何をしなきゃならないのかを考える。そうすることで計画を立てるという部分も大事なのかなぁと。
とても興味深い話だった。彼はできることなら復縁したいと言っていましたが、今の彼なら大丈夫じゃないでしょうか。
人生って、どこでどうなるかわからんもんです。逆転の逆転によって得られるものものあるって事ですね。
まぁ、ぶっちゃけていうと私にもこの考えは全部が全部分かっていません・・・。
中毒になって時間を浪費しまくってみないとたどり着かない回答なのかもしれません。
それでは、また。
お知らせ:ネタ帳では紹介していない1記事1紹介簡潔ブログのITクオリティを更新再開しました
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YAT 自分の友だちに教えたい記事でした。
友人の方の変わりぶり凄くいいですね。
この記事読んですぐリアルの友達に読んでもらいたくてmixiに書いてきました!
僕の周りにも同じような人が居るのでこの記事読んで何か感じてもらえたらなって思います。
2011/10/27 Thu 09:46| URL|