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発信箱:70億=福本容子(論説室)

 今度の月曜、10月31日はハロウィーン。でも今年は、もう一つ記念すべきことがある。カウントダウンも始まった。世界の人口が、この日70億人に達するのだそうだ。

 70億人目となるベビーが一番誕生しそうな場所はインド、なんて言っている新聞(イギリスのガーディアン)もあるけれど、10・31は、あくまで国連推計による70億人突破の日。半年前に来ていたかもしれないし、半年先かもしれないという。

 ただ、伸び続けているのは間違いない。87年に50億人になってから24年でもう70億人だ。2050年には90億人を超え、来世紀初めにも100億人だって。

 大変。そんなに増えたら地球はパンクしちゃう。原油はどうなるの? 電気は足りる? 牛のエサを耕す土地もそんなに増やせないし、魚だって減る。そして温暖化。

 人口が10億人に届いた200年前も、大変!の騒ぎがあった。でもそこから7倍にもなったのに、私たちはこうして生きている。極端な貧困や食糧不足に苦しむ地域はまだまだあるけれど、当時、怖がられた破滅的シナリオは起きていない。ひとことで言えば、技術革命と貿易のお陰だ。

 今再び、どうやって地球上のみんなが食べていくか、平和に安心して暮らしていくか、に役立つ技術や政策が必要になっている。人口減少で縮む日本を守ることばかり考えていると大きな地球は見えてこない。

 民主党政権がまた「戦略」と名の付く会議を作った。野田佳彦首相と閣僚6人に日銀総裁、あとは経団連の会長さんや緒方貞子さんら政府外の5人だ。せっかくだから、地球の50年後、100年後を頭に入れた農業とか医療とかエネルギーとか外交とか貿易を議論してみては? お米をどうする、の一つとっても、「守る」から「貢献する」の道が見えてくるかも。

毎日新聞 2011年10月28日 0時09分

 

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