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thessalonike5
政局にせよ - 「TPP交渉参加中止の決議案」を可決させよ
昨日(10/26)、日比谷でJAが主催するTPP反対集会があり、午後1時から2時半まで、ネットの
動画配信
で始終を視聴した。現地に足を運ばなくても、会場にいるのと同様に全てを見ることができ、文明の利器のありがたさを痛感する。こうした抗議集会をネットの生中継で見るのは、普天間問題のときの沖縄県民大会(昨年の4/26)以来だ。テレビの
ニュース
では、90分の集会が15秒とか30秒に編集されてしまう。マスコミ報道ではカットされたが、萬歳章による冒頭挨拶の後に立った冨士重夫(JA全中専務理事)の情勢報告が素晴らしい。全中のサイトに
配布資料
が掲載されているが、秀逸な檄文であった全文が文字情報におこされるべきだ。団体代表の決意表明は、各政党代表の前に6名によって行われた。テレビは医師会副会長の
中川俊男
の挨拶のみ焦点化して取り上げたが、全国森林組合や全漁連の代表の話も感動的な内容だった。いずれ全文が全中のサイトで紹介されるだろう。考えてみれば、林業に携わる森林組合や水産業に携わる漁協連合会の指導者の言葉というものを、われわれは聞く機会を全く持っていない。それらの情報は、NHKなどが勝手に特定の者を選んで取材し、林業や漁業の従事者の「声」だと捏造して届けているだけだ。不思議なことだ。経団連会長の言葉というのは、毎日のようにテレビから流れるのに。
要するに、昨日(10/26)の日比谷では、この国の第1次産業(農・林・水産)のトップが顔を揃え、国民に生の言葉を発したのである。都市で仕事して生活する市民こそが、耳を澄まして拝聴すべき貴重なメッセージだった。聞きながら心に浮かんだのは、日本の海山川の風景であり、美しい自然であり、山林と田園と清流の中で生きている人々の姿である。彼らは、長く続いた新自由主義の時代の中で、マスコミと官僚が刷り込んできた偏見と差別によって、貶められ、卑しめられ、政府の保護に寄生する無能な弱者のように描き上げられている。企業の収益や都市住民の税金で生かされている「生活保護者」のように仕立てられてきた。しかし、その像が偽りであり、歪曲されていて、生産者としての誇りを持ち、経済主体として力強さを持った人間であることを、日比谷での団体代表たちの挨拶はわれわれに教えていた。思えば、その世界に株式会社はないのだ。協同組合の人間関係がある。だから、人間が違うのだ。おそらく、戦後の日本の資本主義は、企業が株式会社的にではなく、協同組合的に経営されていたと言えるのだろう。協同組合のコスモスでは、原理において、人が人から収奪する契機はないのである。地に足がついた、血の通った本来の日本人がそこにいる。それが地方の健全性であり、なお残るロマンの実体なのだ。心を惹き寄せられる価値であり、都市市民の欠乏なのだ。
日本の農業の生産者というものは、漁業や林業もそうだが、本当に過去の国の政策に翻弄され、都市住民と工業資本の犠牲となり、割を食わされ、皺押せを押しつけられ続けてきた立場だった。日本の「経済発展」の「正道」のために、我慢と断念を強いられてきた境遇だった。コロコロ変わる国の政策に翻弄されたということは、高度成長の昔からずっと言われてきたことだが、わずか2年前、民主党は小規模農家を助成して日本農業を再生すると公約し、大規模経営は間違いだと言い、小泉改革の方向は誤りだったと断罪し、農協の票を自民党から引き剥がすことに成功して政権を得たのである。農業は、自然の制約のために資本の回転が年1回に固定されている。収穫は基本的に年1回、投資から回収までは年1回。生産設備を24時間稼働させ、無限に資本回転の速度を上げられる工業とは論理と条件を異にする。同じ土俵では争えない。agricultureはindustryではなく、「第1次産業」という範疇そのものが誤りなのだと
西谷修
は言ったが、日本人が「第1次産業」の通念から離れ、agricultureの本質に覚醒するのはいつだろうか。それと、もう一つ、関連して、日比谷の集会を見ながら思い浮かんだことがある。それは、農民の革命性という問題だった。最近はそういう議論が流行らず、誰も言わないし、鼻を摘まれる話題に違いないが、政治学という視角と関心からは、自ずとそうした着想に傾くことを許されたい。
今、私はOWSに強く注目していて、そうした心理状態から導かれる観点ということもある。以下は、政治学の基礎知識と言える一般論だが、私の年齢では誰でも知っている近現代史の常識であっても、若い世代では高校や大学で教えられず、初めて聞く話だと面白がってくれる奇特な者もいるかもしれない。マルクスの革命論では、革命主体はあくまで都市のプロレタリアートだった。農村の農民は視野に入らない。これを革命主体として捉え、労農同盟の戦略を定式化したのは弟子のレーニンである。ナロードニキ嫡流のエスエル(社会革命党)左派と組み、土地国有を政策化して10月革命の蜂起に至る。ソ連の国旗に描かれていた鎌とハンマーの図柄は、労働者と農民の同盟を意味している。さらに東に下り、中国の毛沢東の革命論には都市の労働者階級は登場しない。最初から最後まで農民であり、農民革命とコミューンで完結する。当時の中国に近代的な工業が発展していなかったという背景もあるのだろう。日本の左翼の革命理論は、戦前にレーニンの定式が直輸入され、それが正位置を占め、60年代頃に田舎で毛沢東(農民)が流行ったり、新左翼がマルクス(労働者)に還ったりする場面があったが、二つとも一過性の現象に止まった。そして、歴史を遡れば遡るほど、農民の革命主体としての要素は色濃くなるのであり、米騒動を始めとして、戦前(大正・昭和)の農民運動はラディカルで存在感が大きい。
そこから、さらに、子供の頃の政治環境の記憶を辿ると、社会党の勢力基盤は、むしろ都市より農村の方が強くて、特に北海道と九州北半分が社会党の金城湯池だった。東北の田園地帯でも社会党は強かった。労働者が多く集まる京浜・中京・阪神の工業地帯では、逆に社会党は弱体劣勢で、愛知や大阪などは民社党(同盟)が押さえていた。社会党は、どちらかと言うと地方中心の政治勢力だったのであり、戦前の労農派の流れを引き継ぎ、農村部に拠点と地盤を築いていた。農民運動出身の政治家が少なくなかった。これらは、言うまでもなく、戦前の小作争議、明治の農民騒動、江戸の百姓一揆の歴史と伝統と繋がるものだ。戦後もある。自衛隊の百里基地闘争とか、成田の三里塚闘争とか、いつも農民は権力を相手に体を張って闘っていた。権利をめぐる攻防の場で勇敢だった。抵抗する者を感動させ昂奮させる政治の主役を担っていた。私は歴史をすっかり忘れていた。彼らは百姓一揆の末裔だったのだ。忘れていた「農民運動」という言葉を、農民の「大きな物語」を、日比谷の集会の映像は私に思い起こさせた。この10年間、日本人は「食の大切さ」の思想については、以前より謙虚な態度になっていて、食の大切さと同時に農業の重要性に目を向けるように変わっている。そのトレンドは間違いない。農業が大切だと思うならば、そこで働いている農民も大切であって、日本の農民の歴史も大事なものであるはずだ。
さて、マスコミが昼間の事実を夜にどう報道するかに注目したが、NHKは、7時のニュースでもNW9でも、公明党の井上義久がTPPの交渉参加に反対表明した事実を伝えなかった。党の機関決定ではないとはいえ、幹事長の発言の意味は大きい。公明党という組織の性格を考えたとき、個人プレーでこんな言動が飛び出すはずがなく、山口那津男と調整した上で計算してやっている。それは当然で、自民党とも歩調を合わせている。自民党は副総裁の大島理森が日比谷の集会に出席、APECでのTPP交渉参加に対して阻止に動くことを明言した。ここまで来れば、全中の「請願紹介」に署名した議員は、TPP交渉参加の中止を求める決議を国会で上げる戦法に出るべきである。少なくとも、APECでの交渉参加表明は回避し、TPPの協定内容がどのようなものであるか政府に情報開示させ、国会で審議する時間を持つという決議を上げるべきだ。それなら、自公も協調して多数派を形成できるだろう。反対派が言うように、TPPについては情報開示がされず、検証も議論も一切されていない。国民的合意どころか、議論の緒にもつかないまま、政府が抜き打ちで交渉参加に走り、それを推進派とマスコミが「バスに乗り遅れるな」と扇動している。NHKは、TPPの中身が分からないのは、日本が交渉に参加してないからだと言うが、経産官僚と外務官僚は裏交渉に出席していて、情報は入手しているのであり、それを公表していないだけだ。
協定の中身を理解しているから、民主党の「TPPを慎重に考える会」の勉強会に出て、これは国内の法改正が必要になるだろうなどと、議員の質問に答えているのである。何も情報がなければ、そうした説明などできるはずがない。交渉参加延期と情報開示要求の決議案を提出すれば、今の情勢なら、おそらく可決できるだろう。JA全中が公開した署名数(356人)は、参院分で124人あり、定数242の過半数を超えている。衆院では232人で、定数480の過半数を下回るが、両院とも実際に議決に持ち込めば、TPP交渉参加に賛成(決議案に反対)の議員のかなりの部分が棄権に回り、過半数ラインが下がって可決となるだろう。名簿を見ると、参院の自民党の面々はTPP推進派が何人も名前を連ねていて、山本一太や佐藤ゆかりや片山さつきや猪口邦子がTPP反対のはずがないが、一同で申し合わせて行動を共にしている。選挙の理由もあるのだろう。こうした連中は棄権に回る可能性が大だが、逆に、民主党の方は決議案に賛成の議員が増えると思われる。ここは政局にするべきだ。本来、この問題は国民投票にかけるか、総選挙の国民の一票で決めるべき問題で、マスコミが世論調査を捏造して民意を操作して決めるべき問題ではない。政府の独断専行に委ねてよい案件ではない。解散総選挙の政局になってよい選択だ。内閣不信任案を提出可決すればいい。野田内閣を総辞職に追い込んでよく、政界再編の混乱になっても構わない。TPPはそれだけ重大な問題だ。
関税自主権を奪われ、国家主権を失うかどうかの瀬戸際なのだから。
by
thessalonike5
|
2011-10-27 23:30
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Commented by
liberalist
at 2011-10-27 15:48
x
反TPPの旗手・中野剛志氏が、今朝のフジテレビ系のとくダネ!に出演し、大いなる反響を呼んでいます。地上波に出られただけでも驚きですが。
http://www.youtube.com/watch?v=uo8NjoGi-Xk
http://www.youtube.com/watch?v=5_vc8igGMfQ
(すぐに消されると思われるので、お早めに!)
ツイッターで、お笑い芸人のロンドンブーツの田村淳が、その態度の悪さを指摘したことで、更に広まりました。この怒りの姿勢も、中野氏の戦略の一環でしょうね。
「中野剛志氏が出演すれば、視聴率が上がる」が、形式化していまえば、地上波で彼のコメントを目にする機会も多くなるかもしれませんね。かつ、彼には、TPPにかかる新聞社やテレビ局にとってのデメリットを語ってもらえば、もうマスコミはTPPに賛成出来なくなるでしょう。
TPP参加で、最も形を変えられ、被害を受けるのは、実はマスメディアなのですから。
Commented by
33
at 2011-10-27 16:07
x
ここ最近TPPはアメリカを中心とした『ブロック経済化』.
というような話がちょくちょく出てきてますね.
なんとなく,欧州連合,ユーラシア経済共同体とか.
そーいうのが出てきて,ブロック経済化が世界的な流行なのかな.そういった漠とした感覚なのですが,そうなんですかね?
そういえば最近,気象庁が物理屋ばかり採用してます.
個人的には,最近,天気予報が当たらないのは,それが原因なんじゃないの.って思うんです.
物理屋さんは物事を一般化しよう.という傾向があります.
昔の気象庁は地理屋(地形・気象・陸,水,海洋・土壌・植生)の専門家が沢山いました.
彼らは地域ごとの個別化を認める傾向があるので,その地域毎に細かい気象予測をしていたと思います.
数字やデータを一般化することは否定しませんけど,もう少し地域や生活と向き合って欲しいな.なんて思ってます.
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