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» 2011年10月27日 16時09分 UPDATE

タイ洪水、PCメーカーに痛手 HDDの供給不足予測 (1/2)

世界第2位のHDD生産拠点となっているタイ洪水の影響で、PCメーカーは痛手を被りそうだ。各社平均4〜6週間分の在庫を持っているものの、その在庫が切れる11月末以降・年末商戦に向けて影響が顕在化しそうだ。(ロイター)

[台北 24日 ロイター]
REUTERS

 アジアのPCメーカー各社はタイの洪水被害に伴うハードディスクドライブ(HDD)の供給停滞の影響で、当初から予想されていた年末商戦期の需要低迷に加え、春節(旧正月)商戦でもさらなる需要の鈍化に直面することになりそうだ。

 主要コンポーネントであるHDDの生産量がタイの洪水被害の影響で最大30%減少し、供給不足が予想されることから、2012年第1四半期(1〜3月期)のPC売り上げは低迷することが予想される。既にAppleのiPadなどのタブレット端末やスマートフォンの急拡大、企業によるITハードウェア支出の減速といった難題に直面している業界にとっては、さらなる痛手だ。

 「アジアでは当然、AcerやASUSTek Computerといった台湾のPCメーカーに影響が及ぶだろう」とコンサルティング会社米Frost & Sullivanのアジア太平洋地域担当副社長を務めるシンガポールのサティシュ・リール氏は指摘する。

 タイは中国に次いで世界第2位のHDD生産拠点だが、洪水の影響でタイの工場は閉鎖や減産が何カ月か続く可能性がある、とアナリストや企業の幹部らは語っている。

 リール氏によると、PCメーカーは通常、平均4〜6週間分の在庫を持っているが、その在庫が切れたところで洪水の影響が顕在化することになりそうだ。

 「となると、こうした企業に直接影響が及ぶのは11月末から12月にかけてということになる。メーカーにとっては、年末商戦期を迎える重要な時期でもある」と同氏。

 Acerはコメントを断っている。世界第2位のPCメーカーである中国Lenovo Groupからもすぐにはコメントを得られなかった。

 市場調査会社IHS iSuppliによると、世界のHDD生産量は2011年第4四半期(10〜12月期)に最大30%減少する可能性があり、HDDを必要とするメーカー各社は目下、先を争って在庫の確保を進めているという。

 ASUSTek Computerの主要な受託製造業者であるPegatronによると、メーカー各社には在庫があるため、まだ6〜8週間程度は問題ないが、その後のことはタイの状況がどれだけ迅速に平常に戻るかにかかっているという。

 Pegatronの最高財務責任者(CFO)チャールズ・リン氏によると、今年3月に起きた東日本大震災のときと今回のタイの状況とでは大きな違いが1つあるという。東日本大震災の際は各種の部品の供給も滞ったという点だ。

 「一部の部品は生産が東日本に集中していた。だがタイで生産されているHDDは世界の生産量の4分の1程度にすぎない。ほかの地域の工場が生産量を増やせば、今回の洪水被害の影響は東日本の大震災のときよりも少ないだろう」と同氏は指摘する。

 ASUSTekの在庫管理責任者ニック・ウー氏によると、同社の在庫とサプライチェーンは第4四半期の末までは十分に持ちこたえられるが、今のような状況がその先も続くようだと影響があるかもしれないという。

 主要HDDメーカーの米Western DigitalとSeagateはどちらもタイに工場を持っている。Western Digitalの工場は現在閉鎖されている。Seagateの工場は通常どおり稼働しているものの、今後は部品の供給不足に直面する可能性があると同社は警告している。

 アナリストは日本電産(Nidec)がHDD供給のボトルネックとなる可能性を指摘している。日本電産はHDD用の主要部品で世界の生産量の約80%を占めている。HDDはコンピュータ内にデータを保存するための記憶装置だ。

 日本電産はタイのいくつかの工場の操業を停止している。HDDの部品メーカーであるミネベアも同様だ。

 「サプライチェーンがここまで厳しいのなら、各社ともそれほど多くの在庫は確保できていないのではないだろうか」とシンガポールに拠点を置く米Gartnerのアナリスト、リリアン・テイ氏は指摘している。

 「だが見たところでは、大きな影響が出るのは2012年第1四半期(1〜3月期)となりそうだ。状況は半々だ。必要量を確保できないメーカーは第4四半期の段階でもあるだろうが、影響が顕在化するのはおそらく第1四半期だろう」と同氏。

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