ID:

パスワード:

«    トークライブ

前の記事次の記事

果たして、「きゅうり」や「私」というブランドは存在するのか?

日垣  もうちょっと何か変なもの持ってきた人いるかなぁ、と思って期待してたんだけど。ちょっと今までの筋と違うもの持ってきてくれた人、いませんか。
学生17 (挙手)
日垣   はい。
学生17 これ、家のきゅうり。それと、昨日アタシが作ってきた服。
日垣   うれしいなあ。そういうのを持ってきて欲しかったんだよね、本当はねぇ(笑)。でも、どうして今日はそういうのを持ってこようと思ったんですか?
学生17 えっと、今日たまたま出かけに朝、お母さんから1本もらってきました。
日垣  服は?
学生17 服は昨日、たまたま出来上がったから。
日垣  それは、名前も付けてるの?
学生17  私のブランドの"うた"です。
日垣  タグも付けてあるの?
学生17 はい。
日垣  どうして"うた"って付けたの?
学生17 歌が好きだから(笑)。


日垣  どうもありがと。ところで、みんなが言ったのは大体高級ブランドっていわれてるものだと思うんだ。僕がお願いしたのは、もちろん高級ブランドでもいいんだけれども、「ブランドのものを何か持ってきて下さい」ってことで。そういう意味では今まで出た横文字のものとはちょっと違うっていう人、ほかに持ってきてくれた人いますか?
学生18 (挙手)
日垣  はい。何を持って来てくれた?
学生18 えっと、私自身がブランドです(笑)。
日垣  おお(笑)。はい、ちょっと説明して下さい。「ブランドのものを何か持ってきて下さい」って言われた時に、それは自分だって思った経過をちょっと話してください。
学生18 えー、恥ずかしいです(笑)。
日垣  それ言っちゃえば、もう恥ずかしくもないよ(笑)。
学生18  えっと、ブランド品ていうのは好きだから買うみたいな感じで、自分自身も好きだから人が集まってくるみたいな感じ。例えばシャネルが好きでシャネルが良いなって思う人もいるし、シャネルは嫌いだよっていう人もいるじゃないですか。人間もそうじゃないですか。だから、ボク自身がブランド。
日垣  ボク?(笑)
学生18  ああ、すみません。
日垣  それで、それはいつ思ったの? 前からそう思ってたの?
学生18 え、ちょっと色々あって、つい最近思うようになって……。
日垣  色々って、もし差しさわりない、まぁ差しさわりあるんだろうけども。
学生18  はい、ありますね(笑)。
日垣  じゃあ、今の説明ではブランドにも好きだっていう人も嫌いだっていう人もいるし、自分もそうだって言ったんだけれども、例えば、後藤家とか、富士山とか、あるいは北朝鮮とか、好きな人も嫌いな人もいるよね。それはどうなの?
学生18  ブランドだと思う。
日垣  それはブランドなの? そうすると、じゃあブランドじゃないものって例えばどんなもの?
学生18 ブランドじゃないものは世の中には1つもなくて、みんなブランドだと思う。
日垣 すごく考えてくれたと思うんだけれども、名前のあるものがブランドだということになるよね。
学生18 そうですね。
日垣  じゃあ、さっき自分で作ったシャツを持ってきてくれた人は、たぶん、タグを付けてなければブランドじゃない? "うた"って付けたことによってブランドになるの?それとも"うた"って付けてなくてもブランドなの?
学生18 その人が作ったものだから、それはブランドになる。
日垣  作ったもの…。そうすると、完成したらブランドになるの? 完成してなかったらブランドじゃないの?
学生18 それは、分からない。


日垣  あのさ、名前が付いているっていうことは、ブランドの第一条件だとは思うんだ。
 もちろんそれぞれの言葉の使い方をしても良いんだけれど、せっかく「ブランドとは何か」っていうタイトルなんだから、そのブランドっていう言葉を少しみんな正確に定義をしてみようと思います。
 1つは、名前と関係ありそうだってこと。ポチっていう名前が付いてる犬がブランドかっていわれて、それはちょっと普通の使い方じゃないと思う。そうすると、もう1つか2つ条件が無いと、ブランドにならないような気がするんですよ。
 今まで出てきたのはグッチとかシャネルとかティファニーですよね。また、自分が作ったシャツ。そこに"うた"っていうブランドのタグを付けたもの。それから、自分の家で作ったきゅうりを持ってきてもらった。きゅうりは売れるの? 売り物なんだよね?
学生17 そうです.
日垣  売ってるきゅうりだね。もしそれが自家栽培だったらきゅうり持ってきた?
学生17 いえ、持って来なかったなぁ。
日垣  持ってこない。その辺が結構ポイントなんではないかと思うわけです。後ろで見学しておられる、先生方はどうですか?
職員1 名前を付けて売る、手渡すということが前提になるのでしょうか。
日垣  そういうことなんでしょうね。
学生17 うん、そうだね。
日垣  売られないものはとりあえずブランドではない、という感じはするよね。
学生17 うん。


日垣  今の話はたぶん正解だと思うんだ。1つは名前が付いてる、いうこと。それと、作られたものである、ということだよね。でも、それだけでブランドって言っちゃうと、商品って言ってるのと同じになっちゃうなあ。その商品をブランドに変えるものとは、何か? たぶん、そこがきっと、ブランドを理解する最終関門かも知れないですよね。

前の記事次の記事

 

ページ先頭に戻る

 

メールマガジンのお申し込み
今、お申し込みになると、今週号からお読みになれます。 手続き後にはバックナンバーも読めます。

『どっからでもかかって来い』 出版:WAC


sasasaru.jpg
『刺さる言葉』 出版:角川書店



『世間のウソ』新潮新書
全国書店でベストセラー入り!




『急がば疑え』
最新刊!



『使えるレファ本150選』
あらゆるジャンルを網羅した、
ネット時代の必需品



『いい加減にしろよ〈笑〉』
いま、問題の本質が明らかに!


PDF『もっと、おもしろい読書を!』
当サイトでのみ発売



PDF『通販講座』
通販の極意がここに!