イタリアは、歴史を遡っても本当になんかズルいというか、変わり身が早い国です。とにかく楽しい方が良い。スペインやイタリアのラテン系の国では、「ケセラセラ」と要するに「明日は何とかなるさ」という意味の言葉がよく使われる。
それは、イタリア人が、世界中の資本主義国の中で最も貯金の少ない国民、つまり逆に一番お金を使う国民であることときっと無関係ではないと思う。
イタリアは日本のGNPの8割くらいであるにも関わらず、ずっと美味い物を食べているし、よっぽど綺麗な物を着ています。貯金だけは少ないですが、それは政治の問題です。庶民が「いま」お金を使わないで貯蓄に勢力をつぎ込むというのは、不安だからでしょう。
もう1つ、ミラノに行くだけできっと価値があると思うことがあります。それは、お洒落しないと街を歩けないという条例があるんじゃないか、と思うぐらい、お爺さんもお婆さんまで、ものすごく格好よくビシッと決めていることです。
どうして、ミラノの人はそんなにお洒落なのか?
ミラノは、人口規模からしたら仙台市程度の都市なんです。でも、そのミラノから、世界的なデザイナーを30人くらい出してるわけですよ。アルマーニとかヴェルサーチとか、そういう人達を大勢出しています。
ヴェルサーチには、歩いて5分ぐらい離れているところに本店が2つあります。1つは衣類で、もう1つはヴェルサーチの家具やお皿とかスプーンを売っている。ヴェルサーチにオーダーできる人っていうのは、「今度お城買ったから全部やって」みたいに、調度品もお皿から家具から絨毯から全部ヴェルサーチのものでコーディネイトしてもらうわけです。
そういうイタリアの人たちから見たら、ジーンズ姿の女子大生が18万円もするバッグを買うというような日本人の1点買いを、どうしてそういう買い方が出来るのかと理解に苦しんでいる。けれども、ルイヴィトンの世界中での売上げの内、去年は3分の1が日本なんだよね。だからもうあらゆるブランドショップが、日本人の購買を抜きにはもう成り立ち得ないというところまで来ているわけです。