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イタリアファッションのルーツは、すべて織物にある。

こちらの学校では、秋にイタリアに研修に行く、というプログラムがあるそうですね。別に僕は旅行代理店の人間でもないし、ここで皆さんにイタリアへの研修旅行を呼びかけても、僕も一緒にただで連れ行って貰えるわけでもありません。えっ、連れてってくれるの?
20人以上希望者が集まれば? 本当? じゃあ、一生懸命話します(笑)。
僕は借金してでも行ける時に行くっていうのが正しい姿だと思うんですよ。
なぜイタリアに行った方が良いと思うかを、簡単に話します。


16紀から18紀にかけて、オートクチュールの世界では、パリが中心でした。そして、パリに生地をずうっと提供してきたのが、イタリアだったということになります。
フランスにはデザイナーがたくさんいるけれども、実際に布をきっちり作っているのは、みんなイタリアの職人だった。3人とか4人の家内工業だけれど、すごく品質の高い毛織物とか絹織物を作っている家内工業が、イタリアには無数にあったわけです。
例えば、ヴェルサーチというブランドがあります。そのヴェルサーチは、最初3人でブランド立ち上げています。お兄さんが経理係、妹がプランナーというかコーディネイターで、自分は代々作っていた織物の技術を活かしてモノを作るデザイナー。そして、ヴェルサーチの第1号店を、1955年にミラノに出店するわけですね。もしミラノに行けば、そのお店に必ず行けます。いま、世界中に300店舗ぐらい持っていますが、第1号店ができたのは、わずか45年くらい前のことなのです。
イタリアのファッションというのは、ここ40年くらいで花開いたブランドばかりなんですが、でも、その元になった布の歴史はパリなんかの比ではない。ローマ帝国の時代からずっと連綿としてあるのです。

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