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インターネットがつなぐオートクチュールな関係。

 いま、IT、ITとインターネットのことが絶賛されていますが、その割には大したこと無いんじゃないかと言われている昨今です。
コピーライターの糸井重里さんは、『ほぼ日刊イトイ新聞』というホームページを開いています。1日30万人ぐらいアクセス(正確にはページ閲覧)があるそうです。1日30万人の人がアクセスするということは、たいていの地方紙は20万部から50万部くらいですから、それに匹敵するようなことを個人でやってるということになります。


 その糸井さんが、『ほぼ日刊イトイ』のある読者にオリジナルTシャツを作ろうと予約注文を取り、完成してから送ったのだそうです。すると、その読者(消費者)たちから、「今日着きました。ありがとうございます。感動しました」というようなメールが届く。
ものを作って送ったら、それに感謝の手紙がどんどん返ってくる、なんてことは、これまでの流通ではちょっと考えられないことでしょ。


 そしてある読者は、「自分は癌爺です」と名乗ったそうです。
「ガンジー」っていうのはインドの「ガンジー」じゃなくて(笑)、「癌」の「爺」っていう意味なんですね。70歳位の人で、自分は癌だって宣告されて、「もう2ヶ月もたないだろう」って言われたと。2ヶ月で死ぬって言われたのにまだ死なないから、お礼状が書けてうれしいみたいなことを伝えてきた。
糸井さんもそれでビックリしちゃって、「本当ですか? 本当に癌なんですか? 失礼ですけど」ってメールを出したんだって。そうしたら、すぐに癌爺さんが返事をくれて、今度は、「あなた本当に糸井さんなんですか? あの有名な糸井さんなんですか? ご本人なんですか?」という。それから、どのように癌と宣告されたか、といったコミュニケーションをするようになったそうです。


 そのお爺さんも『日刊親戚新聞』っていうのをやっていた。数部程度の、ね。癌爺さんがパソコンいじりを始めたら、娘さんが糸井さんのファンで、糸井さんのホームページが面白いって教えてくれたんですね。糸井さんはすごくこのことを面白がって、「自分の所にも『親戚新聞』を送って下さい」って言ったら、送ってきてくれた。糸井さんはそれがものすごく面白いから、「自『ほぼ日刊イトイ新聞』で連載してくれないか?」ということになり、今でも連載が続いているわけです。もうかれこれ3年生きちゃった、ってことになるのかな。でも、まだ死んでない(笑)。


 この時代、インターネットというようなメディアを通して何が起こっているか?
一度大量生産になってしまったにも関わらず、逆のオートクチュール化ともいうべき現象が生まれていると思うのです。いったん全部ユニクロ化してしまった、かに見えたけれども、1対1の双方向性の関係の中で、作る側の中心にいる人と消費者が直で結びつけられるという可能性がますます出てきているということ。これからそういう流れは、間違いなく感動を生んでゆく、あるいは新しい関係を育んでゆく。


 例えば皆さんがファッションの専門学校を出てから、自分のすごく気に入ってる服を作ったとします。そして、自分が年賀状を出す100人ぐらいの中で、自分の服を「綺麗だ」、「自分も着たい」って言ってくれる人が、2人くらいしかいないと仮定します。でも、それは100人の内2人でしょ。もし自分がお店を持って分母として1000人くらいお客さんが来れば、20人買ってくれるという計算になるんだよね。
ところが、世界中にマーケットを広げた場合、お店を持たなくてもインターネットで「こういう服を作りました」、「これを可愛いと思う人は買って下さい」っていったら、分母は55億人まで膨れ上がるわけです。

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