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偽ブランドとは、プレタポルテの運命でもある。

  物書きの業界とファッションの業界とすごく離れているようですが、しかし、お金の流れは基本的に同じです。
『アンアン』とか『ノンノ』だって、例えば僕が10万円の原稿料を貰って書くとします。『アンアン』だったら120万部とか印刷するわけですから、僕が貰った10万円を120万部で割れば、1部当たり0.12円しか貰ってないということになるでしょう。もし1部しか発行してなかったら、1部あたり10万円貰うことになりますが。
 洋服も19世紀くらいまでは注文服だった。例えば、ある人が頼んだらその人にデザイナーがデザインをして、寸法計ってね。それを着せる。そうすると今のお金でいえば300万円とか400万円とかとんでもないお金を貰うことができた。シャネルなんて、そうだったわけですよね。


 ところが、それをレディメイド(既製服)にしていくということは、要するにコピーということになる。
 今年の流行はこういうものだと100個くらい作っておいて、あとはライセンス契約で「これを元に作ってください」と言うわけですよね。それで、9号とか11号とかサイズを決めてやってるのだけれども、それぞれに合わせて、セミ・レディオーダーみたいな形で作る。だから本家本元のものをライセンス契約でコピーするのがブランドの正体です。


 一方、偽ブランドは、ブランドに必然的に付きまとってしまうものです。つまり同じことやってるわけですよね。デザイナー、チーフデザイナーが作ったものを、全世界でライセンスを貰った所だけが商品としてコピーすることが出来る。しかし、「コピー」というのは、本当は偽物という意味なのです。複写という意味でしょ。だから、ライセンスの許可を得た所が作ったらOKで、ライセンスを貰ってない所が作ったら偽物となってしまうだけです。
 ブランドの本質として、オートクチュールで作ったものをプレタポルテにするいう作業は、偽ブランドを作る事と全く同じことだいうことです。

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