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ネイチャーのリーリン論文炎上中と題して
以前にシリーズでネイチャーに掲載された論文の問題点を紹介しました。【1】 【2】 【3】 【4】 【まとめ】
論文撤回Watchを含めて多くの方が、この論文は撤回されるだろうと考えていたようです。
ところが、このたび訂正の記事が掲載され、論文は撤回されませんでした。
訂正の量は膨大でありますが、すべて単なる不注意からくるミスだとしています。
ネイチャー編集部は2011年4月の末の時点で、この問題は調査中と発表していますが、
今回の訂正記事が掲載されるまで、なぜ約5ヶ月もかかったのかが、不思議なところです。
著者らは、4月にはネイチャーから問題点の指摘をされているはず。
もし、不注意により誤った図を提出していたのなら、正しい図を直ちに再提出できたはず。
なぜなら、正しい図は自分たちの手元にあったはずだから。
にもかかわらず、
著者らは、必ずしも必要でない追加実験をして、時間稼ぎをしていたのではないか、
との見方もできないわけではありません。
この問題については、Retraction Watchでも紹介されており、多くの読者からコメントが寄せられています。
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うっかりミスによるデータ数値の誤り
が数多くあり、
あなたの論文が撤回されたとします。
しかし論文そのものの結論に揺るぎがないのであれば、
データの誤りを訂正して
もう一度新しい論文として投稿し直すことに、何ら不正はありません。
撤回された論文は、もうこの世から消されたものと解釈でき、2重投稿にはあたらないからです。
2008年に6本の論文が撤回された慈恵医大神経内科のOka 氏は、
その後3本の論文を発表しました。
J Neural Transm 2011 Sep;118(9):1323
Reduced cardiac (123)I-MIBG uptake reflects cardiac sympathetic dysfunction in de novo Parkinson's disease
Oka H, Toyoda C, Yogo M, Mochio S
Eur J Neurol 2011 Feb;18(2):286
Cardiovascular dysautonomia in de novo Parkinson's disease without orthostatic hypotension
Oka H, Toyoda C, Yogo M, Mochio S
J Neurol 2010 Jun;257(6):969
Olfactory dysfunction and cardiovascular dysautonomia in Parkinson's disease
Oka H, Toyoda C, Yogo M, Mochio S
やはり3本ともパーキンソン病に関するものです。
6論文が撤回された後に、新たに臨床研究をやり直した結果を発表したものでしょうか?
そんな面倒なことはせず、撤回論文に少し手直しをして焼きなおしたものでしょうか?
すくなくとも
J Neural Transm
に掲載された論文は撤回論文の焼き直しのようです。
なぜなら、撤回論文中の図を再利用しているからです。
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からの続きです。
雑誌 JNS に掲載された2本の論文の撤回理由アナウンスにも Oka 氏による説明文が併記されています。
説明文の内容は、Mov Disor の時のものとほぼ同じですが、
今回は、
慈恵医大の調査委員会が2008年の2月に発足された、
と書かれています。
誰かが、慈恵医大の研究不正相談窓口に警笛を鳴らしたものとみるのが妥当でしょう。
雑誌 JNS の編集長による撤回アナウンスの一部です。
A reader of the Journal of the Neurological Sciences wrote to me and pointed out some issues in the two articles published in the Journal by Dr Oka and colleagues. At around the same time I became aware of similar issues raised about papers by Dr Oka published in several other journals. Dr Okawas contacted about the issues by me as well as by the editors of the other journals.
このことからわかるように、誰かが雑誌 JNS 編集長に問題があると連絡したことも事実のようです。
その問題とは具体的に何か?については、編集長は明らかにしておりません。
以下の点から想像するしかありません。
最後に
Oka 氏は平成23年3月に教授に昇格されているようです。
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からの続きです。
Mov Disor 論文の撤回アナウンスが2008年10月29日になされました。
最初に申し上げましたように、この撤回アナウンスが6本のうち、一番最後であり、この時すでに他の5本の論文は撤回されています。
さて撤回のアナウンスに伴って Oka 氏からの説明文も掲載されています。
以下はその説明文の一部です。
The investigative committee found some serious errors as follow. In control groups, some subjects who underwent the Valsalva maneuver and head-up tilt table test did no [sic]correspond to those who underwent MIBG scintigraphy. The age of the controls (65.7+/-7.0 years) that was stated in PATIENTS AND METHODS is for MIGB scintigraphy. The age of controls for the Valsalva maneuver and head up tilt table test also should have been mentioned in the article.I also made mistakes in calculation and copying of the data. These errors were made by myself, without the knowledge of the other authors. These problems are considered serious errors. The investigative committee concluded that these errors in dealing with the data did not occur intentionally.
実際に論文内容を把握していないと、上記の説明では理解しにくいと思いますので、補足および要約します。
パーキンソン病患者58人に加えてコントロール群の人に、主に3種類の臨床検査をした。
1)心筋シンチ(コントロール群33人)
2)バルサルバ法による副交感神経刺激試験(コントロール群25人)
3)起立性低血圧の検査(コントロール群20人)
問題点は
の3点。
慈恵医大調査委員会は、これらの問題は、深刻であるとしたものの、データの誤りは故意によるものではないと結論づけた。
よって、この論文を撤回します。
と続くのですが、頭をかしげてしまいます。
3点の問題、それほど深刻でしょうか?
特に、2つ目と3つ目の問題点は、ほとんど深刻ではないと思います。
2)の検査を受けた人、3)の検査を受けた人の平均年齢がかなり若かったのなら、問題でしょう(年齢をマッチングしたコントロールとはならないので)。論文に記載されている平均年齢65.5歳というのは、心筋シンチを受けた33名の平均なんだろうな、ということは論文を読めば想像はつきます。
2.41+/-0.27とするところを2.41+/-0.26
と誤った。どこが深刻なのか。
故意に間違いをしていたのなら、深刻な問題と言えましょう。
ちなみに
Oka 氏の説明文中で
The age of the controls (65.7+/-7.0 years)
とあるのは、65.5+/-7.0の誤りだと思います。
やはり
この方うっかり屋さんだったのです。
さて、実際に6つとも論文を読まれた方なら他のところに深刻な問題がありそうだと思われるでしょう。
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からの続きです。
編集長からの問い合わせに対する Oka 氏の回答を要約すると:
ANS 論文、JNS 2007 論文、Neurology 論文のデータを再度見直したところ、コントロール群の年齢と心筋シンチの検査データが誤って掲載されていたことに気づいた。したがって、2008年1月8日に3つの雑誌社に連絡し、誤りを訂正するよう要求したところだ。
一方、Mov Disor 論文中の数値については、心筋シンチの平均値は、過去の論文の数値と偶然一致しただけであり、誤りではないが、標準偏差値に誤りがあることに気づいた。
となります。
そこでMov Disor 論文の数値を訂正しますと以下の表になります。青が訂正箇所。
以上のやりとりのあと
訂正の記事が Mov Disor に掲載されました。2008年3月26日のことです。
また、同時に以上のメールのやりとりも掲載されたのでした。
Oka 氏からのメールの一部です。
Please make sure that the age and mean value of Early and Delay H/M were correctly described. Even though those values were the same of previous data coincidentally, one mistake I have to state following the re-analyses, were the standard deviation (SD) of Early and Delay H/M, so should be revised to 0.22 and 0.27 from 0.21 and 0.26, respectively.
ここで、さらに混乱してしまいます。
Mov Disor 論文の Early H/M の平均値は2.47であり、過去の論文のデータ(2.49)とは一致していないのに、
「偶然一致した」と
Oka 氏は述べています。Oka 氏はうっかり屋さんなのでしょうか?
残念ながら訂正記事の掲載で一件落着とはなりませんでした。
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からの続きです。
さて
雑誌 Mov Disor の編集長
から
筆頭著者兼責任著者である Oka 氏あてに
2007年に Mov Disor に掲載された論文の内容につき
問い合わせがありました。
2008年1月30日にメールを送ったようです。
問い合わせの内容を要約すると:
コントロール群の一部データが、別の数編の論文のコントロール群のデータと全く同じだが、年齢、症例数は異なる。これは非常に驚き。もう一度、あなたのデータを見直してデータが正しいかどうかチェックし、直ちに返答して頂けますか?
となります。
ここで前回の表を以下に再掲します。
Mov Disor 論文のコントロール群は33例で平均年齢は65.5歳。これに対して、Neurology論文は、25例で平均年齢は68.5歳。
従って2つの論文のコントロール群は別々の異なる集団(多少オーバーラップがあるかもしれないが)と考えられます。
にもかかわらず、
青で示した数値(検査結果)が全く同じ。標準偏差まで同じ(ただし、Neurology論文では H/MデータがEarlyかDelayか不明)。
同じような不思議なパターンが赤で示したようにみらる。
こんなことはあり得ないと考えるのが普通です。
この問い合わせに対して筆頭・責任著者である Oka 氏が回答している。これは次回のお楽しみ。
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慈恵医大神経内科からのパーキンソン病に関する臨床研究論文6本が撤回されました。
この6本は、2006年から2007年にかけての掲載となりましたが、6本すべてが2008年に立て続けに撤回となっています。
6本とも筆頭著者は同一人物であり、また責任著者も兼ねています。
掲載雑誌は、
Journal of the Neurological Sciences (JNS)に2本、2006年と2007年
あとは以下の4雑誌に掲載されました。
Acta Neurologica Scandinavia(ANS)
Movement Disorder(Mov Disor)
上の表は、6つの臨床試験でのそれぞれのコントロールグループの年齢、データ などをまとめたものです。
6つの論文のうち、一番最後に撤回されたのが
Mov Disor 論文で、撤回までの経緯、理由が詳しく発表されていますので、まず、この論文についての説明からはじめるとわかりやすいと思います。
なお上記の表はキーとなりますので、今後何度か再掲載すると思います。
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ヘンドリック・シェ-ンという人物がどのような捏造をして一世風靡したかについてはここで説明する必要はないでしょう(詳しくはこちら)。
彼は2004年に母校から博士号を剥奪されていたのですが、
これを不服として裁判をおこしていたのです。
彼の博士論文については、何ら不正はないとされており、博士号の剥奪はおかしいという主張。
これに対して2011年9月14日に裁判所の判断が下されました。
博士号剥奪は正当。
彼の主張は退けられました。
博士論文に不正はなくても、博士号取得後の多数の論文で捏造不正あり、よって博士号剥奪。
これに対して、博士論文そのものに不正があっても、博士号剥奪とはならない、日本の某大学。
日本は甘すぎるのでしょうか?
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モントリオール心疾患研究所の研究グループ
の一連の研究不正の具体例を10回にわたって
紹介しまた。
研究室はすでに閉鎖され、主宰者のWang氏は解雇されました。
彼はすでに中国に戻ったとされていますが、今後も、中国で研究を続けるのでしょうか?
このような人材を中国の頭脳として受け入れても、中国の発展には役立ちませんでしょう。
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