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関西医大第2内科の論文の訂正記事を以前にとりあげましたが、
再度取り上げる必要があります。
Hypertension 2003;41:156.
Department of Medicine II and Cardiovascular Center, Kansai Medical University, Moriguchi, Osaka, Japan.
下段の図は訂正前のもの。
上段の図は訂正後のもの。
訂正記事によると下段の図の左の3枚が誤って掲載されたとのこと。
どこに誤りがあったのかは
左から3枚目の写真を左右裏表にひっくり返すと
一番左の写真にそっくりになる。
実はこれ以外にも問題点があったのです。
過去の関連記事
久しぶりにDr次元さまより
コメントを頂ました。
Dr次元さまの警笛が功を奏し、
Diabetologiaに掲載された獨協医大の論文が撤回になる予定とのことです。
以下7月14日に Dr次元さまが
Diabetologia編集長のDr Naylor
に宛てたメールの一部
Dear Dr J Naylor
Recently, I found that you retracted Dr. Hattori's paper "Diabetologia. 2005 Jun;48(6):1066-74.".
In addition, I found another image manupulation by Dr. Hattori in another Diabetologia paper ( 2010;53:2256-63.).
Please compare Figure 2C image in the above Diabetologia paper (2010) and Figure 1B in the Cardiovascular Research paper.
Reversed image of band image in Figure 2C in Diabetologia paper (2010) is very similar to the band image in Figure 1B in Cardiovasc Res. paper (2009).
I hope you find the attached jpg file on the image manupulation informative.
そしてすぐに返事がくる。
Many thanks for your email of 7th July. We are in fact already looking into the two papers you mention, and I'll let you know the outcome of our investigation.
すでに検証は始めているとのこと。Dr次元さま以外に先に警笛を鳴らした人がいたのでしょうか。
そして今回、撤回にもっていくという返事。
Dear Dr Jigen
I just wanted to update you with regards to the article published by Hattori et al in 2010. The concerns you raised were confirmed by an independent adviser to the journal. We gave Dr Hattori several opportunities to respond to these concerns, but heard nothing. We will now proceed with retracting the Diabetologia article.
Many thanks for bringing this matter to our attention.
Kind regards
Judy
撤回になる予定の論文は
こちら
なにが問題だったかというと
この図は以前に論文撤回Watchで紹介しました。
Dr次元さまの多くのサイトがこのところ
全く更新されていないので
心配しておりました。
今回、コメントを頂いたことで少し安堵しましたが、
Dr次元さまには、今後も益々ご活躍して頂きたいと
思っております。
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感謝祭 作物の収穫を神様に感謝する日。
アメリカでは収穫の時期で大忙しです。
米国研究不正取り締まり局も10月に入って、忙しくなっているようです。
今月に入って、本年6人目と7人目の摘発者を挙げたところですが、先日、8人目が摘発されました。
摘発されたのはNicola Solomon氏。
今回の ORI 米国研究不正取り締まり局 の報告は
大変わかりにくいです。
特に、以下の部分。
Through multiple revision of the manuscript, the Respondent did not discuss this with the corresponding author or question and correct the corresponding author's addition of text indicating that the clones had been fully sequenced and were full length or longer (as indicated in Table 3) when compared to NCBI Mus musculus Unigene.
論文となる前に不正が発覚したのは、確かなようです。
しかし、
投稿後の査読の時点のやりとりの最中に問題が発覚したのか、
投稿前の筆頭著者と責任著者とのやりとり中の出来事なのか、
が判然としません。
ただ、
これからも、論文発表の前でも、
ドンドン摘発していきますよ、
という
米国研究不正取り締まり局の姿勢がみられます。
以下、またも韓国での報道ニュースです。
【ソウル聯合ニュース】胚性幹細胞(ES細胞)に関する論文をねつ造した黄禹錫(ファン・ウソク)博士が率いるスアム生命工学研究院は28日、黄博士のチームがソウル大学在籍当時に作成したヒト胚性幹細胞(1番幹細胞、NT―1)について、カナダ特許庁から特許を取得したと明らかにした。
NT―1幹細胞は黄博士のチームが作成したと発表したヒトES細胞の中で唯一確認された幹細胞。ソウル大学調査委員会は、この幹細胞は(卵子が受精せずに自ら生殖する)処女生殖で偶然にできたものと公式に発表したが、黄博士のチームは世界初の体細胞核移植による幹細胞だとの主張を曲げなかった。
今回の特許には、体細胞核移植によってES細胞を作る方法と、ES細胞として確認されたNT―1幹細胞を特許として認定するという内容が含まれている。
発明者として、黄元教授やソウル大学の李柄千(イ・ビョンチョン)教授ら当時のソウル大学研究チーム15人が名を連ねる。
黄博士のチームと共同研究を進めている忠北大学のヒョン・サンファン教授は、「研究チームが同時に特許を出願した10カ国の中で、唯一カナダで特許証を受け取った」と話した。豪州で特許登録決定後に取り消された経験を踏まえ、特許証が発行されるまでは公表しなかったという。
ただ、カナダ以外の国では特許登録は容易ではないとみられる。豪州と中国、日本、ロシアでは初めから拒否され、韓国や米国などでは発明者側の異議申し立てが受理されたが、反発する世論も少なくない。
ヒョン教授は、「ソウル大学調査委員会が偶然にできたと発表したNT―1幹細胞の特許権がカナダで認定された意味は大きい」と評価した。
以下、韓国での新聞報道です。
電気工学分野で最高の権威を誇る「大韓電気学会」に所属する大学教授や研究者が、ここ3年間に米国電気電子学会(IEEE)ですでに発表された論文を丸ごと盗用し、国際学術大会や学会誌などで発表していたことが発覚した。
電気・電子技術に関する学会では世界最高の権威を持つIEEEは先日、同学会のサイトを通じ「2008年に国際学術大会で発表された韓国人学者の論文は、04年にIEEEで発表された論文を盗用したものだ」と告発した。大韓電気学会も内部調査を通じて別の盗用を摘発し、先月末に学会理事会で当事者に対する処分を決定した。この決定によると、全羅南道羅州市にある東新大学のチェ・ヨンソン教授(44)とイ教授(55)の会員資格を永久に停止し、同大学の博士課程に通うオ氏(47)には5年間の会員資格停止処分が下された。大韓電気学会はさらに全州大学のチェ教授(50)、全南道立大学のキム教授(43)とファン教授(58)、竜山電力のソン代表(59)、電気安全公社のキム研究員(41)などに対して、2年間の会員資格停止処分を下した。
今回摘発された盗用論文7本のうち、一部は知識経済部(省に相当)など政府機関から支援を受け、優秀論文に選ばれ、国土海洋部長官賞を受賞した作品も含まれていた。大韓電気学会にはこの分野の主要な学者が会員として所属しており、会員数は1万人に達する。
問題となった論文のうち、08年に学会誌に掲載された「温度センサーを利用した電力設備のオンライン状態監視」は同年の優秀論文に選ばれ、国土海洋部長官賞を受賞したが、この論文の表やグラフ、また文章の内容は、05年にIEEEで発表されたものとほぼ一致していた。また、残り6本についてもIEEEの論文とほぼ同じ内容だった。
学会では今回の盗用問題をきっかけに、韓国の学会による研究成果に対して国際的に不信の目が向けられることを懸念している。かつてソウル大学工学部長を務めたある大学教授は「海外の論文をそのまま書き写して発表することは、部分的な盗用とは次元の異なる深刻な問題だ」「今回の問題で韓国の学会は国際的に大きな恥をかいた」とコメントした。盗用論文を提出した研究グループのリーダー格、チェ・ヨンソン教授は「功名心のために取り返しのつかない過ちを犯した。関係者の方々に心から謝罪したい」と述べた。チェ教授はさらに「今回の問題は全て私1人でやったことだ。残りの7人はこの問題とは一切関係なく、論文の共同執筆者になっている事実さえ知らなかった」と語った。学会理事会はこの説明を受け入れ、チェ教授以外は大学や研究所などの所属機関に盗用について通知はせず、処分は学会の内部懲戒だけにとどめる方針だ。
大韓電気学会のキム・ムンドク会長は「チェ教授以外の7人の中には、盗用論文に自分の名前が出ていることを知っていた者もいるはずだが、所属機関に通知して懲戒処分が下された場合、身に覚えのない新たな被害者が発生する可能性もあるため、理事会で検討を重ねた結果、今回の結論に至ったと聞いている」と説明した。
ハン・サンヒョク記者
前回
13年前の掲載された論文の訂正記事を紹介しました。
他の論文にも同じような訂正記事がでるのでしょうか?
いくらなんでも
つきゃーみゃーし すぎ
中日ドラゴンズの山本昌投手でも
こんなに 使いまわしは されなかった
はず。
13年前に発表された論文に訂正の記事がでました。
訂正論文は
Brain Res 1998;799:264-9. Role of neutrophil elastase in compression-induced spinal cord injury in rats. Taoka Y, Okajima K, Murakami K, Johno M, Naruo M.
下段図A と Bに問題がありました。この二つの図は、別の論文に掲載された図(上段のA と B)と同じものです。
別の論文とは、
Crit Care Med 1997;25:874-9. Gabexate mesilate, a synthetic protease inhibitor, prevents compression-induced spinal cord injury by inhibiting activation of leukocytes in rats. Taoka Y, Okajima K, Uchiba M, Murakami K, Kushimoto S, Johno M, Naruo M, Okabe H, Takatsuki K.で、同じグループから発表された別の実験結果を論文にしたものです。
ただし、両論文とも実験方法内容は良く似ています。
A は正常のラット脊髄断層、Bは外科的に障害を加えたが無治療(生理食塩水の投与)のラット脊髄断層、C と D は外科的に障害を加え薬で治療した群となります。治療に用いた薬が両論文で異なるわけです。
ですから A と B はコントロール群にあたります。
面倒でも実験条件が異なるたびにコントロール群の実験もせねばならないので、
A と B の写真が両論文間で同じであることは、問題があります。
別の正しい写真があれば、
それを提示し、
前の写真は誤りでした、学会練習用にとりあえず使った写真をそのまま誤って掲載してしまいました、
こちらが正しい写真ですのでこちらと取替えて下さい、
とできるのですが、
13年以上も前に行われた実験ですから、写真も残っていなかったのでしょう。
そこでどうしたかというと、
In the July 1998 issue of Brain Research, we used Figures 5A and 5B which had been already published as Figures 5A and 5B in our previous paper published in Critical Care Medicine 25; 874–879:1997. Although we cited our previous paper as reference 26 in our paper by Taoka, et al., we unintentionally missed the attribution of Figures 5A and 5B in the figure legend of our paper by Taoka, et al. The correct figure legend is as follows:“Figure 5. Histology of (A) an intact spinal cord section and in traumatized spinal cord sections from the level of 12th thoracic vertebra in rats that received (B) saline, (C) Eglin C or (D) L658,758 (×100, hematoxylin and eosin). Figures 5A and 5B were cited from [26]. Five animals in each group were examined and typical results are shown.”
図そのものを変えるのではなく、図の説明文を変更することにより、訂正したわけです。
「図 A と B は、以前に発表した別の実験で得られた図でした」
と高らかに宣言したのです。
これで、Brain Research に掲載された論文の不備な点は解消できたのですが、、、
続きがあります。
先日、2011年6人目の摘発者がでたのもつかの間
7人目の摘発者が出ました。
摘発されたのはデューク大学のShamarendra Sanyal氏。
研究費獲得のためには、多大な努力が必要です。みんな血眼になって研究費の申請をします。
予備実験のデータがあるならそのデータも申請書に添えることは常識です。
その予備実験データを改ざんしたことが、発覚してしまったのです。
予備実験の結果はまだ論文として発表されていなかったので、論文撤回云々以前のはなしです。
どのような経緯でデータ改ざんが発覚したのか、大変興味のあるところです。
公に論文として発表される前に、データ改ざんを摘発する。
日本では まねのできないことです。
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埼玉医科大学国際医療センターで行われた臨床試験の論文の撤回を先日紹介したところです。
繰り返しになりますが、
撤回理由は、
臨床試験そのものが施設の倫理委員会で承認されていなかったことと、
患者さんからの臨床試験参加に関する同意が得られていなかったこと。
ここで当然、
他の臨床試験は大丈夫か?
ということが懸念されます。
埼玉医科大学国際医療センターのグループは他にも数多くの前向き臨床試験を行って論文発表しているようです。
以上少なくとも7つの前向き臨床試験が行われています。中には多施設共同研究、北里大学時代のものもあります。
ドイツの麻酔科医師Boldt が倫理委員会の承認なしで臨床試験を行い、89本もの論文が撤回されたのをご存知でしょうか?
日本版Boldtの誕生となるのでしょうか?
それとも
埼玉医科大学研究倫理委員会はすでに訓告処分を出したので これで幕引きとするのでしょうか?
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さて先日紹介した埼玉医科大学国際医療センターの撤回論文に関連して、
埼玉医科大学研究倫理委員会
が声明を発表しています。
声明は、英語のみの発表で、日本語での発表は今のところなされていないようです。
問題の論文の著者は全部で5人。
筆頭著者が責任著者も兼ねており、委員会は、この責任著者の責任を最も重くみているようです。
A) The corresponding author was officially castigated, and a series of e-learning on clinical research activities was imposed.
B) The co-authors were officially reprimanded.
日本語に訳すと、
責任著者は、訓告処分
他の4人の共著者は、厳重注意
となるのでしょうか。
この処分に対して
コンピューターの前でドーナツかじりながら2,3時間で済むようなe-learning
じゃなかろうな
と揶揄しています。
日本語での声明発表がないのには、首をかしげてしまいます。
埼玉医科大学の研究者に対する警笛が主な目的なら、日本語で発表した方が目的達成のためには理にかなっているように思います。
処分の重さはどうであれ、埼玉医科大学の行動は賞賛に値するかもしれません(獨協医大の無責任、放置主義と比べれば)。
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