経済

文字サイズ変更

オリンパス:12日で異例の展開 企業買収「問題ない」

オリンパスの経営体制をめぐる主な経緯
オリンパスの経営体制をめぐる主な経緯

 オリンパスのマイケル・ウッドフォード元社長の解任騒動は26日、菊川剛会長兼社長が辞任する事態に発展、わずか12日で社長が2度交代する異例の展開となった。ただ、菊川前社長は過去の企業買収に問題があったとするウッドフォード元社長の指摘を一切認めておらず、あくまで株価急落の責任をとって辞任した形だ。高山修一新社長も「問題はなかった」との見解を示し、ウッドフォード元社長との対立解消の気配は見えない。新体制が市場の不信感を一掃できるかは依然不透明だ。【竹地広憲】

 「私は適切だと思う。問題はない」。東京都内でこの日開かれた会見で、高山新社長はウッドフォード元社長が疑問視した投資助言会社への約660億円の支払いについて、第三者委員会の発足前にもかかわらずこう言い切った。また、ウッドフォード元社長の経営手法を「独断専行で、部下を恫喝(どうかつ)した」と強く批判する一方、菊川前社長の業績を「大変大きかった」と評価し、菊川前社長の擁護に終始した。

 菊川前社長がたった12日で辞任に追い込まれたのは、ウッドフォード元社長の「内部告発」を受けて市場に同社への疑念が広がり、株価下落に歯止めがかからなかったためだ。同社の株価は解任騒動の前と比べて終値ベースで半減し、国内外の大株主から詳細な情報開示や調査を求める声が相次いだ。問題視された企業買収や、ウッドフォード元社長の解任を主導した菊川前社長が引責辞任することで、批判をかわす狙いがあったとみられる。

 しかし、高山新社長は会見で「第三者委員会の結果が出ていないのになぜ不正がないと断言できるのか」との質問に、「最終的には第三者委員会の判断に委ねる」と歯切れの悪い返答を繰り返した。さらに、第三者委の発足時期についても明言を避け、真相究明への姿勢に疑問を残した。

 市場の厳しい見方は変わっていない。約5%の株を保有する大株主の米投資顧問会社、サウスイースタン・アセット・マネジメントの担当者、ジョシュ・ショアーズ氏は26日、毎日新聞の電話取材に対し、「(社長交代は)問題の重要性を認識したサインだ」と一定の評価をしつつも、「これで幕引きではないことは確かだ」と指摘。オリンパスに対し、二つの調査機関を設けて二重の検証を行うよう求めているという。

 また、ある証券アナリストは、買収にかかわった投資助言会社への支払いについて「やはり高い。今回の会見は市場の疑問に答えていない」と指摘。「欧米で疑念を払拭(ふっしょく)できない限り、カメラなど製品販売への影響は避けられない」と懸念を示した。

毎日新聞 2011年10月26日 23時19分(最終更新 10月26日 23時29分)

 

おすすめ情報

注目ブランド

特集企画

東海大学:サイエンスマスター育成

広い視野をもった理系の人材育成が目標