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被災者向け貸し付け 暴力団組員89人利用 返還求める

 東日本大震災の被災者向けに宮城県社会福祉協議会が実施した生活資金貸し付けで、規定で制度を利用できない暴力団組員89人が融資を受けていたことが26日、宮城県警への取材で分かった。組員に渡った現金は計1000万円を超えるとみられる。県警は89人の情報を近く協議会に提供する考えで、協議会は組員に返還を求める方針。

 組員の利用が判明したのは「緊急小口資金特例貸し付け」。宮城県民を対象にした無利子の融資制度で、返済は1年間猶予される。20万円を上限に3月下旬から5月上旬まで申し込みを受け付けたが、組員は利用できない規定だった。
 捜査関係者によると、貸し付けを受けた約4万人のうち、約1万人を調査し組員89人の利用が確認されたという。県警は、残りの約3万人の中に組員がいないかどうかもチェックする。
 1995年の阪神大震災では、被災者向けの融資を暴力団組員が受け取り、返済されていないケースがあったされる。
 社会福祉協議会はこうした事態を防ぐため、組員は利用できないことと、必要に応じて捜査機関に情報を提供することがあるという条項を盛り込んでいた。
 県警は4〜7月、組員の身分を隠して貸し付けを受けたとして詐欺容疑で20〜40代の組員3人を逮捕。同様に融資を受けた組員がいないか、社会福祉協議会の協力を得て調査してきた。
 県社会福祉協議会は「震災直後は非常事態で素早い貸し付けを優先したため、組員に貸し付けてしまったケースも出た。県警と連携してきちんと対応したい」と話す。
 県警暴力団対策課は「被災者救済制度を悪用する行為は見過ごせない。復興事業も含め暴力団に公的資金が流れないよう警戒したい」と強調している。


2011年10月27日木曜日


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