AA作品と、その作者に対する荒らし・粘着行為に関する法律のまとめ
- 目次
著作権法
2ちゃんねるの投稿規約文について
やる夫などの2chキャラの著作権
汎用の背景AA等の著作権
刑法
名誉毀損罪
業務妨害罪
※よしお ◆yoshio/WR6は法律の専門家でもなければ、大学等で法律に関する
専門教育を受けたわけでもないので、下の内容が全て正しいとは言い切れません。
「ここ間違ってるよ!」といったご指摘があればぜひメール等で教えてください。
※念のために言っておきますが、ここに書いてあることに基づいて行動した結果
何らかの不利益を被ってもよしお ◆yosho/WR6は一切責任を負いかねますので
くれぐれも自己責任でお願いします。本当に念のため。
※ここで言う「AA作品」とは、1枚AAの作品だけではなく、やる夫スレを含め
AAを用いて創作された作品全般を指します。
◎著作権法
・2ちゃんねるの投稿規約文について
------------------↓ここから2ちゃんねるの投稿規約文の引用↓------------------
・投稿者は、投稿に関して発生する責任が全て投稿者に帰すことを承諾します。
・投稿者は、話題と無関係な広告の投稿に関して、相応の費用を支払うことを承諾します
・投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権、(著作権法第21条ないし
第28条に規定される権利も含む)その他の権利につき(第三者に対して再許諾する権利を含みます。)、
掲示板運営者に対し、無償で譲渡することを承諾します。ただし、投稿が別に定める削除ガイドラインに
該当する場合、投稿に関する知的財産権その他の権利、義務は一定期間投稿者に留保されます。
・掲示板運営者は、投稿者に対して日本国内外において無償で非独占的に複製、公衆送信、頒布及び
翻訳する権利を投稿者に許諾します。また、投稿者は掲示板運営者が指定する第三者に対して、
一切の権利(第三者に対して再許諾する権利を含みます)を許諾しないことを承諾します。
・投稿者は、掲示板運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を一切行使しないことを承諾します。
------------------↑ここまで2ちゃんねるの投稿規約文の引用↑------------------
やる夫系の作者さんには関係ないと思われますが、今回広告を出させていただいた「孤児兵」は
元はと言えば2chに投稿した作品ですので、2chの規約文が絡んできます。
ややこしい感じですが、著作権に絞って言えば、2chに投稿された作品の著作権は2chの運営者が
保有しているということです。ただし、投稿者本人による無償での複製、公衆送信、頒布が
認められており、当サイトの「孤児兵」は無償で読めるので、規約違反ではないと考えられます。
ちなみに規約文の最後の方に「著作者人格権」という言葉が出てきますが、細かく分けると
「公表権」、「氏名表示権」、「同一性保持権」というものです。これらは著作権法で譲渡できないと
決められているので、譲渡ではなく「一切行使しない」という文言になっているのですね。
-----------------------------↓ここから著作権法の引用↓-----------------------------
(著作者人格権の一身専属性)
第五十九条 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
-----------------------------↑ここまで著作権法の引用↑-----------------------------
※「著作者人格権を行使しない」という契約は「人格を制限することは公序良俗に反する」という観点から
無効とする学説もあったりしますが、面倒なのでここではとりあえず規約文は全て有効だとしておきます。
※あと、さらにややこしいことに、「孤児兵」に関して言うと2010年9月のkamome鯖死亡事件によって
作品全体の3/4ほどが2chのログから消失してしまってるんですよね。既に無くなった物に対してまで
規約は有効なのか?とか、もちろん判例なんかありませんので何とも言えませんけど。
・やる夫などの2chキャラの著作権
すでに広く使われている2ch系のオリジナルキャラとその派生キャラについては、
著作権者が存在しない、いわゆる「パブリックドメイン」(平たく言うと「みんなのもの」)だと解されるため、
無許諾で作品に使用しても訴えられることはないでしょう。
また、パブリックドメインを使って創作を行った場合でも、その作品に関しては
作者の著作権が発生するため、その作品に対してカンパを求めたりすることは
法的には問題ないと思われます。
・汎用の背景AA等の著作権
背景集にあるような背景AAなどもパブリックドメインと見なされる・・・と言いたいところですが、
写真等からトレースしたと思われるものもいくつか存在し、著作権者が存在する可能性があるので、
全てがパブリックドメインとは言い切れず、無断使用で訴えられる可能性も無いとは言えません。
まずありえないとは思いますが。
「孤児兵」に関しては、2chで発表した時点では背景集からコピペしたコマもいくつかありましたが、
広告掲載前にそれらの全てのコマを新しく描き下ろしました。
◎刑法
・名誉毀損罪
-----------------------------↓ここから刑法の引用↓-----------------------------
(名誉毀損)
第230条
1.公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、
3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2.死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
-----------------------------↑ここまで刑法の引用↑-----------------------------
「公然」とは、「多数または不特定の人が“認識し得る”状態」のことであり、
結果的に誰もその事実に気づかなかったとしても、罪を免れることはできません。
また、実際に被害者が損害を受けなくても、損害を受ける危険を生じさせただけで
犯罪が成立します(「抽象的危険犯」といいます)。
さらに、この場合の「事実」というのは「真実」という意味ではなく、名誉毀損罪の成立には
摘示された内容の真偽は関係ありません。つまり嘘でも本当でも成立しうるということです。
ここで問題となるのが、AA作品の作者は多くの場合、コテハンであるということです。
この条文でいう「人」とは、「自然人」「法人」「法人格の無い団体」などが含まれますが、
コテハンは本名ではないがために、(状況的に容易に本名を認識できる時を除いて)
コテハンの名誉が傷つけられたとしてもそれがすぐに個人の社会的信用を落としたとは
認められず、罪には問えませんでした。
しかし、それが著作者となれば話は別です。著作権法のところにもありましたが
著作者は著作者人格権、すなわち人格を持っていると認められています。
まして、その著作者がカンパを募りその一部を広告料として支払うという
経済活動を行っているとなれば、それは世間で言うところのペンネームと同じく
社会的信用を持つことになります。よって、その信用を傷つけた場合には
当然に名誉毀損罪が成立するものと思われます。
ちなみに、名誉毀損罪の公訴時効は3年です。
・業務妨害罪
-----------------------------↓ここから刑法の引用↓-----------------------------
(信用毀損及び業務妨害)
第233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
-----------------------------↑ここまで刑法の引用↑-----------------------------
一般的にはそれぞれ「信用毀損罪」、「偽計業務妨害罪」と呼ばれる犯罪です。
ここで言う「業務」とは、社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務や作業等を言い、
それによって生計を立てている必要は無く、また営利目的でなくても良いため、
例えば宗教的儀式や趣味のサークル活動、ボランティア活動でも「業務」に該当します。
ただしこれには個人的な趣味や娯楽は含まれないため、「AA作品を作って発表している」というだけでは
「業務」にはなりませんが、AA作品を作ってカンパを募り、その中から広告費を払うということになれば
それは完全に個人的趣味の範囲を脱し、立派な「業務」となりえます。
なお、この条文で規定される犯罪は名誉毀損罪と同じく「抽象的危険犯」なので、
具体的な損害が発生していなくても成立します。
ちなみに公訴時効についても名誉毀損罪と同じで3年です。
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