東京電力福島第一原発の事故のために各地の下水汚泥が放射性物質に汚染されている問題で、横浜市の林文子市長は26日、東電がこうした下水汚泥の処理費用を補償する方針を示していると明らかにした。
市によると、東電の担当者が今月、市を訪れ、処理にかかる人件費や放射能の測定費用などを補償したいと申し出た。具体的な補償項目や請求期限などの説明はなかったという。市は給食食材の検査や局地的に放射線量が高い地点の除染費用も補償対象とするよう要望した。市には21日現在、放射性物質を含んで処理できずにいる下水汚泥の焼却灰が4625トンある。
東電広報部は「原子力損害賠償紛争審査会の指針に基づき補償の基準を検討している。個別のケースは答えられない」としている。
政府の原子力損害賠償紛争審査会は8月、原発事故の賠償の目安となる中間指針を公表。汚染された下水汚泥などの処理費用も補償対象と解釈されているが、具体的にどの範囲が対象になるかは書かれていない。自治体と東電の交渉では難航も予想されている。