宇宙航空研究開発機構(JAXA)は26日、金星周回軌道への再投入を目指している金星探査機「あかつき」の軌道制御エンジンの推進力が足りないため、別の「姿勢制御エンジン」を11月1日から3回にわたって噴射し、軌道を修正する計画を発表した。修正後、周回軌道への再投入を目指す。当初は次に金星に近づく15年11月の再投入を想定していたが、このエンジンは推進力が弱いため、より小さな力ですむ16年や17年の接近時まで待つことも検討する。
再投入軌道は1周に90日かかる遠巻きな観測軌道と予測されていたが、数日で1周する軌道まで接近できそうだという。当初予定されていた軌道は1周30時間だった。
噴射は11月1日、10日に600秒ずつ、21日は必要な分だけ行う。3回に分割するのは、本来の使い方と比べ噴射が長時間になりエンジンの過熱を防ぐのと、事前の計算と誤差が生じた場合に修正できる余地を残すため。
軌道制御エンジンの燃料に当たる酸化剤(約65キロ)は不要になり、機体の重量を軽くするため今月6~13日の間に廃棄した。【野田武】
毎日新聞 2011年10月26日 20時23分(最終更新 10月26日 20時34分)