長期的には都民が債務を背負う危険も
ところが、そこに落とし穴がある。というのも、この計算は短期的な話であって、長期的に見るとちょっと違ってくる。それは新たに建設・整備した施設の維持費がかかってくるからだ。
2002年に冬季オリンピックを開催した長野県は、施設整備に巨額の資金がかかり、ばく大な借金をして、2002年度には1兆6475億円もの県債残高を抱えることになった。
この県債の利払いに加えて、年間100億円ともいわれるオリンピック施設の維持費が財政を圧迫して、一時、長野県が財政再建団体へ転落するのではないかと心配された。
当時の長野県知事だった田中康夫氏は財政再建に取り組み、公共事業費や公務員人件費など支出カットを行った。これによって1兆円を超えていた県予算を2006年までには8250億円にまで圧縮し、プライマリーバランスの回復を果たした。
借金はまだ山のように残っているが、これで当面の危機は回避した。しかし結局、財政支出のカットというのは県民サービスを低下させたということだ。長野オリンピックの負の遺産は最後は県民に押しつけられたわけだ。
東京は、オリンピックを開催した場合、既存の施設を極力利用するといっているが、メインの陸上競技場やサッカーのスタジアム、選手村は新設する。
これらの施設の建設は臨海副都心に集中している。口の悪い人は石原都政の土地在庫一掃セールだと言っている。開催後、新設した施設は売却するという話だが、もし売れ残ったら長野県ほどではないにしても、かなりの債務を将来に残すことになる。
こうしたリスクを冒してもオリンピックという夢を買うのか、そんな夢など必要ないのか、都民は決断するべきだろう。
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