阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」
オリンパス火砕流、続報次々に
2011年10月18日 [leaks]
先週末の10月14日、突然、マイケル・ウッドフォード社長の解任を発表したオリンパスは、週明けの株価も下げ止まらずにストップ安、約24%という暴落を記録した。
むろん、前社長のインタビューを載せたFT(フィナンシャルタイムズ)の記事が火砕流を招いたのだが、それを見て赤っ恥「買い推奨」のゴールドマン・サックスはじめドイツ証券、JPモルガン証券、シティグループ証券、大和証券キャピタル・マーケッツ、野村証券などが投資判断を引き下げた。これでようやく国内メディアも報じ始めたから、一気に流れる情報量も増えるでしょう。弊誌としては嬉しい限りである。
FT報道に対しオリンパスが懸命に反論している。「一部報道について」というニュースリリースを17日に流した。
マイケル・ウッドフォード取締役の代表取締役及び社長執行役員の解職について、一部、憶測等に基づく報道がなされておりますが、解職の理由は、これまでもご説明しております通り、他の経営陣との間に経営の方向性・手法に関して大きな乖離が生じ経営の意思決定に支障をきたす状況になったためです。また、すべてのM&Aは適正な手続き・プロセスを経たうえで会計上も適切に処理し、実施しております。
FACTAの二度の公開質問状への回答と同じではないか。まさに壊れたテープ。上場企業の資格なしである。
それにしても、だらしないのは東証だ。売買高でも値下がり率でも注目銘柄になっているのに、ロイター報道では、この期に及んで「会社側の説明を尊重するとの立場を示しながらも、追加情報などがあれば開示を待ちたい」(上場部ディスクロージャーグループ)というのだから投資家を馬鹿にしているとしか思えない。既にオリンパス本社には当局者が入ったとの情報もあるから、売買停止、上場廃止になるシナリオも十分考えられる。
FTの続報に加えて、WSJ(ウォールストリート・ジャーナル)も参戦し、こちらはFACTAが先鞭をつけていたと記事でフェアに書いていただいている。英文で引用すると、
Mr. Woodford said the concerns that led to his split with Mr. Kikukawa began in late July, when an article in the Japanese magazine Facta raised questions about Olympus's purchases of three small Japanese companies between 2006 and 2008 for nearly $800 million
きちっと書いていただいたJuro Osawa記者には感謝申し上げたい。
香港に出国したウッドフォード社長が、解任の引き金を引いたのはFACTAの8月号と10月号の記事だったと発言していることは、弊誌も存じています。
さて、17日夜、オリンパスの森久志副社長が投資家の前で「ウッドフォード前社長の情報漏えいに法的措置をとる」という脅しを口にしたとロイターが報じています。が、残念ながら、不正行為が立件されかねないのは、菊川会長や森副社長ら現経営陣のほうではないでしょうか。FACTAが入手した内部資料を毎日ひとつ公開して検察、国税、証券監視委など関係省庁や、業界関係者全員に分析してもらえば、森副社長の脅しなど一蹴できるでしょう。菊川オリンパスが丸裸になる日は近い。
投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)