(2011年10月22/23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
日本の名門光学機器メーカー、オリンパスは2月10日、驚くべき発表を行った。年長の日本人幹部数人を飛び越し、欧州事業を率いていた50歳の英国人、マイケル・ウッドフォード氏を社長に任命したのだ。
創業来92年間の歴史の中で、外国人が同社トップに就いたことはなかった。実際、日本全体でも、外国人経営者は一握りしかいなかった。
当初はまるで旧友のようだったウッドフォード・菊川両氏
社長に復帰した菊川剛氏〔AFPBB News〕
社長を退任する菊川剛氏は集まった記者に向かって、ウッドフォード氏が会社を変えることを期待していると語った。
オリンパスはコストを削減し、競争力を高める必要があるし、従業員は、製品展開の幅広さに見合う国際観から恩恵を受けるだろう、という話だった。
2人は旧友のように冗談を言い合っていた。ウッドフォード氏は菊川氏のことを「気の合う友人」と呼び(本人いわく「同じユーモアのセンスがある」)、会長としてトップにとどまり、改革に対する批判からウッドフォード氏を守ってくれる「傘」になぞらえた。
しかし、ウッドフォード氏はこの10日間で、誰も予期し得なかったほど激しくオリンパスを揺さぶった。
10月14日、同氏は取締役会で突如解任され、せせら笑う元同僚から「バスに乗って空港に行け」と言われることになった。
解任直後に「公園で会いたい」とFTに接触
その後、ウッドフォード氏は衝撃的な疑惑を公表した。菊川氏の下で行われた一連の企業買収で、オリンパスがファイナンシャルアドバイザーや取引先に10億ドル以上の不当なカネを支払ったというのだ。同氏は、そのカネが犯罪者の手中に「消えた」可能性があると懸念している。
ウッドフォード氏が本紙(英フィナンシャル・タイムズ、FT)で事情を公表してから1週間で、オリンパス株は半値に落ち込み、日本の当局は調査を迫られることになった。
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