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オリンパスのジャイラス買収、ウォール街の2企業も関与


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 【ロンドン】オリンパスを取り巻く疑惑の焦点となっている取引には、ウォール街の名高い米企業2社も関わっていた。

Jiji Press/Agence France-Presse/Getty Images

オリンパスの社長を解任されたマイケル・ウッドフォード氏

 ニューヨークを本拠とする法律事務所ワイル・ゴッチェル・アンド・マンジスとブティック型投資銀行ペレラ・ワインバーグ・パートナーズは、オリンパスが2008年2月に英医療機器メーカー、ジャイラス・グループを19億2000万ドル(約1460億円)で買収するにあたって助言を行っていた。この取引は今月、オリンパスがこれに関連して別の投資助言会社に総額6億8700万ドルを支払っていたことが明らかになったことで、にわかに注目を浴びることになった。

 今月オリンパスを去ったマイケル・ウッドフォード前社長兼最高経営責任者(CEO)は、ジャイラスの買収などについて社内で追及したところ解任されたと述べた。オリンパスは、ウッドフォード氏の解任は経営の方向性・手法に関する乖離(かいり)が理由だと述べた。

 6億8700万ドルという金額は、オリンパスの買収金額の3分の1以上に相当し、同様の買収における標準的な助言報酬をはるかに上回るものだ。報酬はアグザム・インベストメンツとアクシーズ・アメリカに支払われた。ウッドフォード氏が2週間前に外部監査会社のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)に依頼し、作成された調査リポートによると、両社はその後解散している。

 PwCのリポートは、ワイル・ゴッチェルとペレラ・ワインバーグが、オリンパスではなくアクシーズから報酬の支払いを受けていた可能性があることを示唆している。リポートには「これは、われわれには異例の取り決めに見えるが、この取り決めに関してこれ以上の詳細な情報は提供されていないため、これ以上のコメントはできない」と記載されている。

 ペレラ・ワインバーグは、合併・買収(M&A)を長年手掛けるジョセフ・ペレラ氏とゴールドマン・サックス出身のピーター・ワインバーグ氏が創業した会社。事情に詳しい関係筋によると、同社には問題の取引の報酬として現金で500万ポンド弱(約6億円)が支払われた。

 ワイル・ゴッチェルにいくら支払われたかは不明。

 オリンパスとアグザム、アクシーズ間で交わされた報酬に関する取り決めは時間の経過とともに変化し、複雑化していた。オリンパスは、約6700万ドルの手数料に加え、発行価格約1億7700万ドルのジャイラスの優先株を報酬として支払ったが、のちに優先株を買い戻したときには6億2000万ドルにまで値上がりしていたと述べた。

 PwCのリポートによると、オリンパス、ジャイラス、アクシーズが08年9月に締結した報酬料が詳述された「売買契約書」は、ワイル・ゴッチェルが作成した。

 ワイルはM&Aと破産法を専門とする評判の高い法律事務所だ。同事務所の役員にコメントを求めたが、回答は得られなかった。PwCの広報担当者は、コメントを拒否した。

 オリンパスの代表者には、日本の通常の営業時間外には連絡が取れなかった。同社は21日、過去に行った買収について調査するための第三者委員会を設置すると発表した。オリンパスはPwCのリポートを一方的だとし、ジャイラスの買収における助言報酬は適切だったと述べた。

 今回の事態でもう1人注目を集めているのがアクシーズの社長、ハジメ・ジム・サガワ氏だ。PwCのリポートによると、同氏はジャイラスの買収に関してアクシーズの代表を務めていた。

 関係筋によると、サガワ氏は最近、この件に関してニューヨークで米連邦捜査局(FBI)捜査官の接触を受けた。FBIの捜査については、先に米紙ニューヨーク・タイムズが報じていた。サガワ氏の携帯電話に電話したが、連絡は取れなかった。同氏は不正行為で告発されてはいない。サガワ氏の夫人は、サガワ氏はこの件に関して何も悪いことはしていないと述べている。

 ジャイラスやその他企業の買収に関する詳細は、オリンパスの経営陣を不安に陥れている。今月オリンパスの異例な報酬の支払いが表面化して以来、同社株は売りがかさみ、14日以降56%下落して時価総額は約50億ドル相当下がっている。

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