ちまたの旬な話題から、日本の未来像を問うテーマまで。


サカナは食べられるか?

武田邦彦 (中部大学)
8月から10月にかけての太平洋側のサカナの汚染状態について整理をしてみたいと思います。基本的には状況は変わっていません。結論としては、次のようになるようです(太平洋岸の北海道から静岡まで)。

1)時々、大人でも食べてはいけないサカナが見られる(セシウム)。

2)おおよそ、子供は食べない方がよい(セシウム)。

3)ストロンチウム、プルトニウムのデータがほとんど無く、小魚を骨ごと食べるのは避けた方がよい。

4)汚染の数値はセシウムの値を2倍にするのがメヤス。

結局、東日本の太平洋側のサカナは買わない方がよいのですが、その理由は、1)暫定基準値が高く設定されいるので、表示されていなければ1年5ミリの被曝になる可能性がある、2)安全レベルの1キログラム40ベクレル以下のものもあるが、40ベクレル以上のものも「安全」として売られているので区別がつかない、3)相変わらず福島近辺の海からとれるサカナが汚染が高く、海の海流などでのセシウムの拡散が遅いようだ、4)川魚、貝類、藻類も同じように危険、ということです。今年は買うのをやめておいた方が良いでしょう。(川魚の汚染と水道の汚染のつじつまが合わずに、若干困っています。)

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1. 8月のグリーンピースのデータ



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8月のデータでは、アイナメ、メバル、サクラマスなどの主力魚が200から1000ベクレル程度汚染されています。1年1ミリの被曝として、空間0.4ミリ、水0.1ミリ、ホコリ0.1ミリ、食材0.4ミリと割り振ると、サカナは1キログラム40ベクレルが限度になりますから、いずれもまったく食べることができないぐらいでした。

日本にいてグリーンピースのデータを使うのは残念ですが、私が最初にサカナの汚染を調べたのもグリーンピースでした。今までグリーンピースの批判をしていましたが、国がダメなときには「徹底的な反対派」がいることも大切ですね。

2. 9月の水産庁のデータ



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9月は8月と同じく福島近辺では50ベクレルから1700ベクレルぐらいになっていて、状態の変化はありませんでした。これを「放射性物質の移動」という意味では海に流れた放射性物質を陸揚げしているということを意味しています。特に海に流れたと考えらえられるストロンチウムやプルトニウムをサカナを媒介して陸に揚げていることも心配されます。

また水産庁の測定は信頼できると思いますが、肝心のストロンチウムとプルトニウムの値が出てこないので、その点で不誠実と思います。またサカナも一部が公開されているのか、全体から見て、ここで示したサカナが何%なのかも判らない発表のしかたです。

3. 10月の水産庁データ



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青森県から宮城県沖でとれたサカナは、タラ、カレイ、ブリなどの主力魚がおおよそ10から40ベクレルぐらいで、「汚染されているが食べられる」というレベルにあります。もし、国が食材について1年0.4ミリシーベルトというまともな規制を引いていたら、これらのサカナは堂々と「安全」というレッテルを貼って出荷されるでしょうが、なにしろ基準値が500ベクレルなどになっているので、これらのサカナも紛れて危険になってしまいます。

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茨城沖も10から50ベクレルぐらいでギリギリの状態が続いています。このような状態は北海道の太平洋側から神奈川まで続いていて、静岡のデータはほとんど得られません。静岡のデータが見つからないのは、私の探し方が悪いのか、本当に測っていないのか判りません。静岡はお茶の時に「測定しない」という方針をとったので、その名残があるのかとも思っています。

またこれも伝聞ですが、三重県の漁業が「東北を助けるために、中部の人を被曝させる」という方針を決めて東北の汚染されたサカナを優先的に引き取っているということもあり、中部は若干、気持ちの悪いのです。

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川魚はどうかというと福島などは汚染されていますが、100ベクレル程度の汚染がみられます。このデータは栃木県のアユですが、子供は絶対に止めた方が良いという値です。これでも国の暫定基準値(1年5ミリ、セシウムだけ)の範囲に入るのがとても残念です。

このような状態なので、「検出せず」のサカナも多いのですが、基準値が高いので、やはり避けた方が良いと思います。総じて、水産の人にも順法精神と日本の子供を守る日本の大人としてのプライドを求めます。

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