バレンタインの秘密 written by ナグナブロ



私の名前は綾波レイ。

エヴァンゲリオン零号機専属パイロット。

ただそれだけのために存在する人形のような存在だった。

でも、そんな私にも「好きな人」ができた。

同じエヴァンゲリオンパイロットの碇君。

碇君の優しい言葉を聞くと胸の奥がポカポカしてくるの。

今日は2月14日、赤木博士が好きな人にチョコレートを渡す日だって教えてくれた。

私は碇君にチョコレートを渡したかった。

でも、碇君の側にはあの人がいる。

セカンドチルドレン、惣流・アスカ・ラングレー。

私と同じエヴァンゲリオンのパイロット。

少し前から葛城一尉の家で碇君と一緒に暮らし始めたの。

私が碇君にチョコレートを渡したら、碇君はきっと一日中、惣流さんにその事を言われ続けると思う。

きっと私も、惣流さんが碇君にチョコレートを渡す所を見たら、きっと嫌な気持ちになる。

そこで私は、秘密の作戦を使って碇君にチョコレートを渡すことにしたの。

朝のホームルームが始まる前に、私は碇君の席に近づいた。

「碇君、これ……」

私は碇君に小さなお弁当箱を手渡した。

「お弁当?」

「作って来たの」

惣流さんが私たちの方に近づいて来る。

「アンタバカァ?シンジは毎日自分の分を作ってきているのよ?」

惣流さんは私がお弁当を渡したことを知るとあきれたような顔でそう言ったの。

でも、碇君は優しくて。

「ありがとう、綾波。僕は男だから、これぐらい食べられるよ」

と言ってニッコリ笑ってくれた。



お昼休み、碇君はいつものように鈴原君と相田君と一緒に食べていた。

やっぱり、碇君にはお弁当の量が多かったみたい。

碇君が自分で作っていた分を鈴原君にあげていた。

私の作ったお弁当は全部碇君が食べてくれた、嬉しい。

私は碇君が私の作った一口ハンバーグを見て不思議そうな顔をしているのを見て、秘密の作戦が成功した事を知った。

お弁当を食べ終わった碇君は私にこっそりと耳打ちをしてくれた。

「チョコレート、ありがとう。ちょっと、驚いちゃったけど」

私はハンバーグの真ん中に少しチョコレートを入れて作ったわ。

きっと惣流さんには気付かれていないはず。

「僕はアスカと恋人のようだってみんに冷やかされているけど、僕はアスカとはそういう関係じゃないから」

去り際に碇君が言ってくれた言葉に、私は胸の奥がまた暖かくなった。

碇君、その言葉信じていいの?

私は自分の席に戻る碇君の姿を見つめながら、決意をする。

来年は、みんなの見ている前でチョコレートを渡したい、と。



<あとがき>

初めまして、いつもはLAS(ラブラブアスカシンジ)ばかり書いているナグナブロと申します。

今回初めてLRSっぽいものをかいてみました。

多分LRSっぽい話を書くことはほとんどないと思いますが、この作品を楽しんで頂けたら嬉しいです。

※2010年2月14日 バレンタイン記念作品(短編作品No.32)
作品著書/ページ構成:ナグナブロ様

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