奥深い競技かるたの世界~東京大学かるた会

誰もが幼いころに一度は経験する百人一首。その百人一首を競技と捉え、大会も開催されている「競技かるた」。10月4日からアニメ「ちはやぶる」が放送され現在注目を集めている。今回は8月に行われた全国職域学生かるた選手権大会において、団体戦A級を含む3級で優勝をおさめた東京大学かるた会のみなさんにお話を聞いた。

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小さいころから取り組んでいた

「小学生のときに親がかるたを買ってきて、遊んだことが百人一首を知ったきっかけでした」

松岡陽子さん(農学部獣医学課程5年)はそう話す。初めは遊び感覚だったそうだが、中学校の授業で百人一首があり、他の人より札をたくさん取ることができて楽しかったという。この体験がきっかけとなり、大学に入学後も「自分が得意なことをやりたい」という考えで東京大学かるた会に入った。

松岡陽子さん

松岡陽子さん

「児童館で遊んでいたときに存在は知っていたけれど、最初はなにが楽しいのかまったくわからなかったです」と笑って話すのは黒田万智さん(教養学部2年)だ。 しかしその考えは中学校のときに変わる。

「かるたをやっている友だちと勝負したけれど、まったく勝てなかった。そこからどうすればその友だちに勝てるか考えたのが取り組み始めたきっかけです」と黒田さんは話す。その後、札を覚え、少しずつその友だちからも札を取ることができるようになり、かるたに楽しさを感じたという。

黒田万智さん

黒田万智さん

一橋大学の学生でありながら東京大学かるた会に所属しているのが西紀之さん(一橋大学経済学部1年)だ。

「小学校のときに地元の児童館で百人一首をやっていて、かるたをやるために高校を選びました」と西さんは話す。かるたのために高校を選ぶほどかるたへの思いが強い西さんは、一橋大学にもかるたサークルはあるものの、あえて東京大学かるた会に入ることを選んだ。「より多くの大会に出場するために、東京大学かるた会を選びました」と西さんは話す。

西紀之さん

西紀之さん

老若男女みんな平等に戦うことができる

競技かるたは経験により勝敗が変わってくるという。しかし「日々の練習や、少しの工夫で小柄な人でも大柄な人に勝つことができるし、先輩にも勝てる。老若男女平等に戦えるものだと思います」と黒田さんは言う。それは今日本で一番競技かるたが強いのが女性であることからもわかる。松岡さんは「先輩に勝てるとうれしい」と話す。人それぞれ取りやすい位置、取りにくい位置があるそうで、日々の練習では苦手な場所をスムーズに取ることができるように練習しているそうだ。

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競技かるたはまだまだ世間では競技人口が少ないが、全国各地で毎週のように大会が開催されており、東京大学かるた会も遠征に行くことがあるという。移動など大変なこともあるそうだが、「他の大学や全国にかるたを通じた知り合いが増えていくのが楽しい」と西さんは話す。西さんは「週末も北陸に行くんです」と笑顔で話してくれた。

多くの人が学校の授業でしか経験していないであろう百人一首。今回の取材で競技かるたの奥深さと魅力を知ることができた。さらに昔の文化も知ることができるなど、多くの楽しみ方もある。アニメの放送からでも競技かるたの世界に触れてみると思いがけないおもしろさを感じるかもしれない。

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取材・文・写真:仲田悠介(横浜国立大学2年)


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