大王製紙(東証1部上場)の創業家出身の前会長・井川意高(もとたか)氏(47)による巨額借り入れ問題で、同社の経理担当役員が今年3月、前会長に貸し付けをした子会社の役員に対し、「顧問に伝えるべきだ」とする内容の電子メールを送っていたことが、同社関係者への取材でわかった。
顧問とは、前会長の父親の高雄(たかお)氏(74)。メールは3月時点で同社幹部が多額の貸し付けを把握し、問題視したことを示す内容で、「9月に関係会社から寄せられた情報で発覚した」という同社の説明と食い違う。3月に経営陣が適切に対処していれば、前会長への貸付額がさらに膨らむことを防げた可能性がある。
同社の発表などによると、前会長は9月までに7社以上の連結子会社から計約106億円を無担保で借り入れていたことが判明。このうち約46億円は3月までに借り入れていた。しかし、結果として4月以降も子会社から前会長に約60億円の貸し付けが続いた。前会長は子会社に「顧問には言わないでくれ」と口止めをしたうえで借金を申し込んでいたという。