【社説】韓国が韓半島唯一の合法政府との歴史を変えるな

 中学校歴史教科書改訂に向けた歴史教科書執筆基準開発委員会が「(1948年に大韓民国政府が樹立された当時)大韓民国は国連から韓半島(朝鮮半島)で唯一の合法政府として承認を受けた」というこれまでの記述のうち「韓半島で唯一の」という文言を削除することを決めた。この問題について、同委員会は「大韓民国を唯一の合法政府として承認した1948年の国連総会決議は、38度線以南の地域に限定されたもので、(従来のままなら)事実と食い違いが生じる」と主張している。委員会の主張がそのまま認められれば「大韓民国政府だけでなく北朝鮮も、金日成(キム・イルソン)主席がソ連の支援と指示を受けて1948年に朝鮮民主主義人民共和国を樹立したときから、韓半島で合法政府の一つと見なすことができる」とする左翼勢力の以前からの主張が、教科書に掲載されることになる。

 国連は1947年11月、国連の監視下で南北で秘密投票形式の総選挙を同時に行い、独立政府を樹立することを決議し、選挙の監視のために国連韓国臨時委員団をソウルに派遣した。しかしそれよりもかなり前から、北朝鮮に共産主義単独政府の樹立を準備していたソ連と金日成主席は、国連韓国臨時委員団による北朝鮮地域での総選挙実施を拒否した。そのため最終的に1948年5月10日、韓国だけで選挙が実施され、8月15日に大韓民国政府が樹立された。国連は同年12月「国連による選挙の監視が可能で、韓国国民の多くが生活している地域に対し、管轄権を持つ合法政府が誕生した」「この政府を韓半島で唯一の合法政府として宣言する」と決議した。これに対して漢陽大学のイ・ヨンヒ元教授ら左翼勢力は「当時、国連による選挙監視が可能だった地域は38度線以南の地域だけだったため、国連が言及した唯一の合法政府とは、韓半島全体ではなく38度線以南の地域での合法政府を意味している」と主張してきた。

 しかし当時の国連決議は、大韓民国を38度線以南だけの合法政府としたわけではなく、国連決議を拒否して国連の選挙監視活動を禁じた北朝鮮の金日成政権に対して言及しなかっただけにすぎない。しかし左翼勢力はこれを根拠に「大韓民国は38度線以南の地域だけの合法政府だ」と主張し、金日成政権の正当性の根拠としてきた。

 国民は左翼勢力がなぜこの点をそれほど重要視し、数十年にわたり引きずっているのかを理解しなければならない。この問題は成長途中にある生徒たちに「自由民主主義を教えてはならず、北朝鮮式の人民民主主義をも含む民主主義を教えなければならない」とする主張と同一線上にあり、同時にイデオロギー闘争の延長線上にもある。

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