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カツオ・サンマの水揚げ低迷 冷凍施設復旧遅れ響く 気仙沼

カツオ一本釣り船の入港は徐々に回復しているものの、水揚げ量が低迷する気仙沼港

 気仙沼港(宮城県気仙沼市)のカツオ、サンマの水揚げが低迷している。例年この時期が最盛期だが、今月前半の水揚げ量はカツオが昨年に比べ約6割、サンマは約4割にとどまる。下水道などの復旧が遅れ、津波被害を受けた冷凍加工施設の業務再開が進んでいないためだ。品薄感から地元スーパーの鮮魚コーナーに並ぶ魚の価格も高騰気味で、市民の食卓にも影響が広がっている。

 昨年まで14年連続でカツオ水揚げ日本一を誇った気仙沼港。宮崎、三重のカツオ一本釣り船から脂の乗ったカツオがベルトコンベヤーで運ばれる。フォークリフトも魚市場内をきびきびと行き来している。
 21日早朝、一番乗りした「光栄丸」(三重県)の橋本康一漁労長(45)は「市場の設備はほぼ震災前の状態だ。半年でよくここまで来た」と目を見張った。
 しかし、気仙沼漁協によると、10月前半(1〜14日)の水揚げ量は、カツオが1931トンで前年同期の約6割、サンマが1224トンで約4割にすぎない。震災前に100社以上あった加工会社の冷凍加工施設の再稼働が遅れ、受け入れ態勢が整っていないためだ。特に7割以上が冷凍に回るサンマは影響が大きい。
 加工施設が多く立地する臨港地域は下水道などのインフラが復旧していない上、被災した土地の買い上げ方針が示されないこともあって、加工会社が再建に踏み出せないでいる。
 ある加工業者は「自力で仮工場を再建しても、土地のかさ上げが必要になれば、結局移転せざるを得なくなる」と不満げ。水産物仲卸会社社長の岩渕光男さん(65)は「国の支援も漁業者に比べ、冷凍加工業者の再建には手薄だ」と訴える。
 水揚げの低迷は、地元の小売店にも影響を与えている。市内で3店舗を展開する「スーパー片浜屋」(気仙沼市)は、カツオの切り身(400グラム)を昨年の2倍に当たる600〜700円で販売している。
 バイヤーの小笠原孝さん(48)は「量がなかなか安定しない。事情を分かっているお客さまには購入してもらっているが、売る側としては心苦しい」と困惑顔だ。
 気仙沼漁協は11月にも、60トンの凍結能力と3000トンの保管能力を持つ市内の冷凍施設を再建する。稼働すれば、港の受け入れ態勢は大幅に改善する。
 同漁協の熊谷浩幸・魚市場部長は「ことしは気仙沼に水揚げしてくれた漁船も、施設の復旧が遅れれば別の港に移るかもしれない。早く元に近い状態に戻し、水揚げを回復させたい」と話している。
(神田一道)


2011年10月26日水曜日


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