政府の原子力災害現地対策本部と県災害対策本部は18日、郡山市中心部の池ノ台地区で、大気中の放射線量の詳細調査を行った。対象は、一戸建てとマンションなど集合住宅計99地点。月内に調査結果を公表する。同市での詳細調査は初めて。
調査は、県と日本原子力研究開発機構の職員が7班編成で実施。対象世帯の玄関先と庭で、地表面から50センチと1メートルの線量を測った。住民の求めに応じて側溝や雨どいなどの線量を至近距離で計測し、参考値として伝えた。
特定避難勧奨地点の指定を前提に行った伊達市霊山町などでの調査とは違い、市や住民の意向に応え、現状を把握するのが目的。ただし、指定の目安となる地表1メートルで1時間当たり3・0マイクロシーベルト以上の地点があれば、指定に向けた協議に入る。計測データは国、県、市で共有し、除染計画などに反映させる。
調査に協力した同所、無職、濱田剛二さん(66)は「正確な線量が分からないのが、一番の不安だった。玄関、庭とも思ったより低かったが、参考で測ってもらった水路は想定通り高かった。管理する市に土砂の除去を要望したい」と話した。
池ノ台地区は、JR郡山駅から南西約1キロの住宅地。周辺には国の基準値(1時間当たり3・8マイクロシーベルト)を超える大気中の線量を計測したため、一時利用を制限していた酒蓋、荒池西、荒池農村の3公園がある。県が7~8月に実施した自動車走行観測で、最大毎時2・81マイクロシーベルトを計測していた。【太田穣】
毎日新聞 2011年10月19日 地方版