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国際
【タイ洪水】治水対策怠り 洪水被害は「人災」「政災」
2011.10.23 17:54
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タイには、「水の都」といわれるバンコクをはじめ、運河網が整備されてきた古い歴史がある。バンコクには1700本の運河が張り巡らされ、総延長は約2600キロにのぼる。
バンコクに限らず、チャオプラヤ川上流を含む運河網は、(1)外敵の侵入防止策(2)物資などを輸送する交通路(3)排水、灌漑(かんがい)システム-としてつくられた。
だが、これまでは大雨が降っても、運河やチャオプラヤ川に排水され、タイ湾へ流し出されていたシステムは今回、記録的な豪雨に加え、ダムの放流によって許容量を超えた。このため、増水して水があふれ出し、堤防が決壊した。
だが、運河の水門を開け「水抜き」をすれば、その勢いで周辺地域が浸水する。それでも政府が19日から20日にかけ、バンコク近郊と市内の水門を開けたのは、一部地域は犠牲にしても、大規模かつ広域の決壊などによるバンコク全域の浸水を防ぐ狙いからだ。
その過程では、数カ所の水門が老朽化で機能せず、大急ぎで修理が施された。これはほんの一例だが、それほど灌漑、排水システムは傷んでいる。
タクシン政権時代、灌漑の整備が打ち出されたが、クーデターで政権に終止符が打たれ実現しなかった。アピシット前政権は、親タクシン派との政争に労力を費やし、治水対策どころではなかった。その意味で、今回の洪水被害は“政災”ともいえるだろう。(青木伸行)
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