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【社会】

児相、虐待伝えず 名古屋・名東の中2死亡

2011年10月25日 09時04分

 名古屋市名東区の市営住宅で中学2年の服部昌己君(14)が暴行されて死亡した事件で、名古屋市中央児童相談所が虐待を把握しながら、県警に伝えていなかったことが、相談所と県警への取材で分かった。一方、県警が虐待情報を相談所に伝えたのは昌己君ではなく、弟についてだった。専門家の間では「両機関の連携が機能していれば救えた命」との指摘がある。

 県警への取材では、今年7月、昌己君の祖母と弟が名古屋・瑞穂署に、弟の虐待に関連して相談し、県警は相談所に連絡。事件直前の10月14日にも祖母から似た相談があり、署員が駆け付けたが異常はなく、相談所に連絡した。

 祖母と弟は昌己君らと離れ、瑞穂区で暮らしていた。いずれも弟に関する相談で、県警は昌己君が虐待されているとは認識していなかった。

 一方、相談所によると、今年6〜7月、昌己君の虐待についての通報が学校や住民から相次いだ。相談所は家庭訪問し、昌己君の母親の交際相手の酒井秀志容疑者(37)と面会。暴力を認めたが「反省の態度があった」ため、一時保護などの措置を講じなかった。10月14日にも訪問したが「体罰以外の方法が大切と指導した」という。

 相談所は「警察と連携して対応する段階ではなかったから、情報提供しなかった。警察は犯罪ととらえるが、相談所は援助をしており、連携や情報共有は難しい」と釈明。

 一方、瑞穂署は「応援要請もなく、昌己君について何も知らなかった」と説明。県警幹部は「通報が続いた時期に連絡があれば、警察として手を打つことができた」と話した。

 名古屋市の2相談所には今春から、県警の警官2人が出向している。虐待への対応強化のため、河村たかし市長が河辺有二県警本部長に直接、頼み込んで派遣が実現。7月と10月の訪問には、この出向者も出向いていた。

 ◇級友最後のお別れ

 昌己君の遺体が安置された名古屋市内の斎場には24日夜、最後のお別れをしようと同級生ら100人ほどが訪れた。

 午後6時ごろから、同級生や保護者が制服や喪服姿で次々と斎場に入った。訪れた人たちは昌己君の遺体に対面し、焼香をして冥福を祈った。

 斎場から出てきた生徒は一様に硬い表情。ハンカチに顔をうずめ立ち尽くしたり、抱き合って悲しみをこらえる姿も。弔問は午後10時ごろまで続いた。

 ■「日本子どもの虐待防止民間ネットワーク」の岩城正光理事長の話…相談所は警察から弟の情報を得たら、より深刻に考え、昌己君についても警察に伝えて積極的に動いてもらうべきだった。相談所が動けば未然に防げたケースで、救えた命。相談所に危機感がなく、子どもの立場に立っていない。

(中日新聞)

 

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