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【社会】

酒井容疑者、児相再訪に応対せず 名古屋・名東の虐待死

2011年10月25日 16時00分

 名古屋市名東区の市営住宅で中学2年の服部昌己(まさき)君(14)が暴行されて死亡した事件で、7月に市中央児童相談所が家庭訪問した際、母親の交際相手の酒井秀志容疑者(37)がほとんど応対していなかったことが、関係者への取材で分かった。だが相談所は「体罰をやめるよう指導し、反省していた」と判断、継続的な訪問もしていなかった。

 相談所などによると、昌己君が通っていた中学校からの通報で、相談所は6月に暴行を把握。最初の訪問で酒井容疑者が認めたため、暴行をやめるよう指導した。「左目の周りにあざがある」と通報を受けて7月14日、再び訪問をした。

 昌己君は「母親が階段を上る介助をしていて、よろけて手すりにぶつけた」と話し、現場の状況が一致するため暴行は確認できなかった。だが、部屋で寝ていた酒井容疑者に、あざに関して尋ねると「うるせえ。昌己に聞け」「眠いんだ」などと怒り、ほとんど会話にならなかった。酒井容疑者を前にした昌己君は、緊張しておびえた様子だったという。

 だが翌日、酒井容疑者から「態度が悪かった」と謝る電話があり、相談所は「虐待の痕跡がなく、経過は良好」と判断。9月に中学校に2度、問い合わせただけで、しばらく訪問を見送っていた。

 昌己君の周辺などへの取材では、昌己君は事件当日以外にも繰り返し暴行されていた。虐待を心配する新たな情報を受け、今月14日に相談所が家庭訪問した際は、傷痕は確認できなかった。酒井容疑者は一貫して暴力を肯定する発言をしており、この時も「言っても聞かないなら、体で覚えさせる」と話したという。

 この訪問でも、酒井容疑者の前で昌己君はおびえた様子だった。中央児童相談所の久保田厚美相談課長は「判断が甘かったと言われれば、認めざるを得ない」と話した。

    ◇

 服部昌己君の密葬が25日朝、名古屋市瑞穂区内の斎場で、遺族らが出席してしめやかに営まれた。母友己(ゆき)さん(38)は「昌己を返してほしいとしか、考えられません。(24日夜は)たくさんの友人が斎場に来てくれ、愛されていたんだなと思いました」と話した。

(中日新聞)

 

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