TPP交渉参加議論の民主党PT、医療関係者や経済関係団体からの意見聴取で賛否両論
TPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加問題を議論している民主党の経済連携プロジェクトチームは24日、医療関係者や経済関係団体から意見聴取を行ったが、賛否両論が出るなど、11月初旬の党内取りまとめには難航が予想される。
慎重派の日本医師会は、「第1の懸念は、公的医療保険がTPPの対象となること」、「第2の懸念は、TPPをきっかけに、医療の市場化を容認する考えが、さらに広がること」と話した。
推進派の日本経団連は、「交渉参加が遅れるほど、わが国の立場や主張を反映するのが難しくなる。国内手続きの時間を考えれば、来月(11月)のAPEC首脳会議が、参加表明のラストチャンス」と語った。
会合で、医療関係団体からは、「TPPは例外のない貿易の自由化交渉であり、医療の市場化が進めば、国民皆保険制度が崩れる」との意見が上がった。
また、「TPPはつかみどころがなく、参加賛成反対の前に不安がある」と、早期の参加表明を懸念する声も上がった。
経済関連団体からは、「貿易自由化の枠組みに日本が乗り遅れれば、生産基盤の海外流出、雇用への悪影響が出る」と訴え、野田首相が目指す11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)前の参加表明に期待を示した。
一方、民主党内の慎重派議員が作る「TPPを慎重に考える会」は、役員会を開き、座長の山田前農水相が、あらためて早期のTPPへの参加表明への反対を強調した。
山田前農水相は「あの大津波のように、想定外だったと言われないように、ここはしっかりと、どうしても阻止しなくてはいけない」と述べた。
山田前農水相は、民主党議員から参加に慎重な議員の署名が199人集まったことを明らかにし、徹底抗戦の構えを強めている。
民主党は、野田首相がAPECに出発する前の11月2日までに取りまとめを行いたい考えで、24日で各種団体からの意見聴取を終え、今後は意見集約に移る考え。
しかし、民主党議員からは、「まだ勉強不足だ」との声が複数上がっており、早期の意見集約は難航が予想される。
(10/24 20:22)