2011年10月25日01時02分
本の街、楽器の街、スポーツ用品の街……。様々な顔がある東京都千代田区の神田かいわいは、実は「カレーライスの街」でもある。そんな特色をPRする「第1回神田カレーグランプリ」が29、30日、神田小川町の「小川広場イベント会場」で開かれる。通常より軽め、安めで提供する各店のカレーを食し、人気投票でナンバーワンを決めてもらおうというイベントだ。
企画したのは、千代田区商工業連合会が中心となって結成した「神田カレー街活性化委員会」。呼びかけ人は連合会理事の中俣拓哉さん(41)だ。神田でインターネット通販会社を経営し、大のカレー好き。老若男女を問わずにぎわうカレー店の様子に「『カレーの街・神田』を世に広めたい」と思い立った。
中俣さんによると、都営地下鉄小川町駅(神田小川町)から半径約1キロの範囲には、カレーを提供する店がなんと約130店舗ある。じっくり煮込んだ家庭的なカレー、ココナツ風味のタイカレー、ぴりりと辛いインドカレー、スープカレー……と種類も豊富だ。
その中から、参加を希望した20店が出店。自慢の一品を軽めに盛り、通常より安い400〜600円で提供する。客は1食購入するたびに投票券を1枚もらえる。「たくさん食べ比べ、気に入った店に多く票を入れてください」と中俣さん。最多得票のグランプリ発表は30日午後5時だ。
カレーを出す店が神田に増え始めたのは1980年代だといい、広がった理由については、主に三つの説がある。
【本の街と相性抜群?】日本随一の古書店街には全国の古本好きが集まる。目当ての一冊を見つければ、すぐ読みたくなるのが性(さが)。なので、ページを繰りつつスプーンで簡単に食べられるカレーが人気に。
【エスニックブームの名残?】東南アジアなどの文化が流行した80年代、インド料理やタイ料理の店が神田にも多く進出してカレー定着の起点に。
【学生の定番?】明治大学などがある神田は学生の多い街。80年代、学生の主なたまり場だった喫茶店で、時間を潰しつつ手頃な値段で腹を満たせるメニューがカレーだった。
「どれが本当か、まだ他に理由があるのか定かではありません」と中俣さん。「でも、神田がカレー店でにぎわっているのは事実。グランプリを恒例行事に育てて街を盛り上げたい」と気合が入っている。(中川文如)