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2011年10月25日5時33分

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小中学生の体内から少量のセシウム 福島・南相馬で検出

 福島県南相馬市の市立総合病院は、9月下旬から検査した市内の小中学生の半数から少量の放射性セシウム137が検出されたことを明らかにした。事故直後に呼吸で取り込んだものか、事故後に飲食物を通じて取り続けたものか不明のため、病院の責任者は「定期的に調べて健康管理につなげたい」と話している。

 小中学生527人を最新の内部被曝(ひばく)測定装置で調べたところ、199人から体重1キロあたり10ベクレル未満、65人から同10〜20ベクレル未満、3人から同20〜30ベクレル未満、1人から同30〜35ベクレル未満のセシウム137を検出した。

 セシウム137が半分になるまでは約30年かかるが、体からは便などとともに排出されるため、大人で100日程度、新陳代謝が高い小学校低学年生で30日程度で半分が出ていく。

 低線量の内部被曝の人体への影響についてはわからないことが多い。1945年の広島・長崎への原爆投下や、86年の旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所事故などでは、詳細なデータが取れていないからだ。

 今回、少量ながら内部被曝の量を数値で把握できたことで、継続的に測定すれば、事故時に呼吸で取り込んだ量と、その後に飲食物を通じて取り込んだ量がそれぞれどのくらいかなどが、これまでより正確に推測できるとみられる。

 その結果、内部被曝と健康被害の関係を詳しく調べることができ、今後は、食品を通じた内部被曝の増加を監視できるという。

 検査結果を分析している東京大学医科学研究所の坪倉正治医師は、「1回の検査では確かなことは言えない。数カ月後に検査して推移を見れば、ある程度は推測できる。南相馬だけの問題ではない。国家的な取り組みが必要だ」と話す。

 25年前にチェルノブイリ原発事故を経験したベラルーシのベルラド放射能安全研究所は、子供の場合、放射性セシウムは体重1キロあたり70ベクレル以上を危険レベル、20ベクレル以上を要注意レベルと決めて対策をとっている。

 京都大原子炉実験所の今中哲二助教は「人体には1キロあたり50〜60ベクレルのカリウム40という放射能が自然にある。その変動の範囲の10や20なら、神経質になっても仕方がないだろう。30ベクレルあったら、少し気になるので、減らしたほうがいい」と話している。(松浦新)

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放射性セシウム
ベクレル

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